Ahrefs.comブログの日本語訳です。
原文: “What we learned about “Long Tail” by analyzing 1.4 Billion keywords”(Tim Soulo/March 20, 2017)
検索キーワードの単語数が少ないと検索されやすく、単語数が多いほど検索されにくいという話をよく聞きますが、それは本当でしょうか?これまでのキーワード調査では「そういった傾向がある」などの曖昧な表現が目立つようです。
今回の記事ではAhrefsが持つ14億の検索キーワードデータの分析レポートから、ロングテールSEOのインサイトを共有します。
検索キーワードの単語数による分布
一般的にGoogleでは3単語以上で検索されることが多いと言われています。実際はどうなのでしょう?
とても興味深いデータですね!すべての検索キーワードのうち、1単語だけで検索している割合はわずか2.8%でした(米国)。
月間検索ボリューム毎のキーワード分布
次の円グラフはデータベース内のキーワードの月間平均検索ボリュームの分布です。
このグラフは「ロングテール」をまざまざと表しています。米国の検索キーワードのうち96.54%は月間検索ボリュームが50回未満でした。
検索キーワードの単語数と検索ボリューム
検索キーワードの単語数と検索ボリュームの関係を確認します。キーワードデータを月間検索ボリューム毎に8つに分類して、検索単語数との割合を調査しました。
検索キーワードの単語数と検索ボリュームとの間には明らかに強い相関関係があります。しかし同時に、ロングテールSEOの必須条件が単語数の多さではないことを示しています。
検索ボリュームが月間100万回以上(1M+)のキーワードのうち9.3%は3単語以上です。いくつか例をあげます(米国)。
- star wars the force awakens (1,320,000)
- martin luther king jr. day (990,000)
- fantastic beasts and where to find them (721,000)
- why is there a leap day? (646,000)
- who invented the mechanical television (596,000)
- rick and morty season 3 (567,000)
- what day is mother’s day 2016? (513,000)
検索ボリュームが月間0〜19回のキーワードうち12.7%は2単語以下です。いくつか例をあげます(米国)。
- am254
- anii80
- animacrack
- schould
- schpoology
- rajajooga
- rajaprasong
- zipsnipcutter
- zirkelmagier
- zs2015
一般的にロングテールのキーワードは3単語以上と定義されています。
調査結果からも分かるように、単語数が多いキーワードの人気がないとは言えません。
検索単語数毎にグループ分けして検索ボリュームの合計を調査しました。
飛び抜けて高いパフォーマンスを持つグループはないようです。
ロングテール曲線
ロングテールSEOという言葉は、ロングテール曲線の「ロングテール」に由来します。14億のキーワードデータを基にしたロングテール曲線は次のようになります。
ロングテールの「ヘッド」部分には大きな検索ボリュームを持つビッグワードがあります。しかし、すべての検索の10%を占めることはほとんどありません。ロングテールの「テール」部分には検索ボリュームが非常に少ないニッチワード群が広がっています。ニッチワードはすべての検索の約40%を占めています。
このロングテールをグラフに表示すると見づらくなってしまうため、少し修正したグラフを作成しました。
ロングテールの活かし方
すべての検索のうち約40%が月間検索ボリューム50回未満のテールワード(ニッチワード)から発生しています。これをうまく活かしていく方法がないでしょうか?その方法をご紹介します!
「website traffic」と検索した結果の3位のページを見てください。
「website traffic」というキーワードの検索ボリュームは月間10,000回ほどです。検索結果が3位の場合の想定トラフィックを約10%とすると、最高でも月間1,000件のトラフィックしか期待できません。
しかしAhrefsのキーワードエクスプローラーを見ると、このページは月間で約7,000件のトラフィックが約600ものキーワードから発生しています。
これはロングテールが生み出す栄光のトラフィックです。
このページのURLをサイトエクスプローラーに入れて、ランキングしているテールキーワードをすべて見てみましょう。
まるで人々が同じ質問のために幾百もの手法を編み出しているかのようです。Googleはそれを理解していて、様々な同質の意味を持つ検索クエリに対して同じページを見せています。
だからこそ、特定ページの検索トラフィックを個別のキーワードの検索ボリュームから正確に予測することはできません。上位表示しているページを調べて、テールワードから生まれているトラフィックを確認する必要があります。
競合サイトの分析にも同じことが言えます。
IncomeDiary.comのトラフィックに貢献しているキーワードリストを確認すると、「how do websites make money – ウェブサイトはどのように収益を上げるか」というキーワードの検索ボリュームは月間800件しかありません。あまり注目するキーワードではなさそうですね。
しかしオーガニック検索から最も多くのトラフィックを獲得している上位ページを確認すると、次のようになります。
このページはランキングしているテールワードの数がとても多いため、確度の高いターゲットから大量の検索トラフィックを集めています。
ロングテールSEOを前向きに検討する
上記の調査で得られたことのほとんどは驚くべきことではないかもしれません。ただ個別のキーワードの検索ボリュームに注目するあまり、ロングテールSEOのパワーを見過ごしている人が多いのではないでしょうか?(2010年のように)
ぜひロングテールのSEO戦略を練り直してみてください。