HubSpotのSEO戦略を分析してわかった9つの意外な事実

データと研究

この記事はAhrefs公式ブログの日本語訳です。
原文:9 Surprising Takeaways From Analyzing HubSpot’s SEO Strategy
(著者:Mateusz Makosiewicz、✓Reviewed by Ryan Law / 原文の最終更新日:June 27, 2024)
※フルスピード注:この記事は2024年6月27日時点の記載をもとに翻訳しています。Ahrefs公式ブログの記事は今後追記・再公開されることがありますことをご了承ください。

HubSpotは上場企業であり、年間収益は6億1,400万ドルを超え、マーケティング担当者の間で伝説的な地位を占めています。Googleから買収の申し出があったとされる金額は、少数精鋭のチームを月に送ったり、数年間にわたって世界の飢餓を解決したりするのに十分な額です。

HubSpotはコンテンツマーケティングとSEOの歴史において、特別な位置を占めています。HubSpotはインバウンドマーケティングとコンテンツ マーケティングの初期推進者の1人であり、SEOが優れたマーケティング戦術であることの生きた証拠です。

HubSpotがSEOで行っていることをそのままコピーするだけで、特にSaaS向けの完全なSEOプレイブックを作るのに十分です。

Ahrefsのデータを徹底的に調査し、HubSpotの戦略から得られた9つの驚くべき教訓を共有しましょう。

1. HubSpotは史上最大の企業ブログを運営している

太陽が大きいことは誰もが知っていますが、太陽系の拡大図を見ると、「大きい」というのは控えめな表現であることがすぐにわかります。HubSpotのブログでも同じことが言えます。

HubSpotより大きな企業ブログは見つかりませんでした。ご存知でしたら、ぜひ教えてください。喜んでこのコメントを撤回します。HubSpotのブログは、検索トラフィックに関して史上最大の企業ブログです。

彼らのブログは、推定で毎月820万件のオーガニック訪問を生み出し、広告収入は530万ドル以上になります。(記事公開時点から)ほんの数か月前の訪問数はさらに多く、1,000万を超えていました。

そして、次の画像はHubSpotという「太陽系」の外観です……

もっと大きなブログスターを見つけるには、別の「システム」に目を向ける必要があります。ブログ全体を見て、それがブログなのかニュースサイトなのかがはっきりしなくなるまで調べる必要があります。

つまり、HubSpotのブログはMashableやHealth.comほど大きくはありませんが、Harvard Business Review、RollingStone、Coindesk、The Vergeよりは大きく、Wiredに匹敵します。そして、今あげたWebサイトは企業ブログではなく、すべて独自のビジネス(ニュースサイトやパブリッシャー)です。

このブログがどれくらい大きいのか気になっている方のために説明すると、2024年5月だけで148件のブログ投稿が公開され、累計ページ数は18,000ページ以上です。

2. トラフィックは主に「肩をすくめる絵文字」や「名言」などから得ている

おそらく、HubSpotブログで最もパフォーマンスの高い投稿はマーケティングやセールスに関するものだと予想するでしょう……しかし、それは間違いです。

「肩をすくめる絵文字」と「名言 引用」を合わせると、トラフィックのほぼ10%を占めており、このようなトピックは他にもたくさんあります。

さて、これは検索意図の低い不適格なトラフィックであり、すぐにはコンバージョンしない、あるいはまったくコンバージョンしないというのは常識です。しかし、トラフィックが多ければ多いほど良いというのも常識です。では、HubSpotブログの場合は、どちらの常識が勝つのでしょうか?

もちろん、HubSpotがこれらのゆるく結びついたキーワードをめぐって争っているのは偶然ではありません。HubSpotを上回ろうとすれば、HubSpotもあなたと争うでしょう。なぜなら、HubSpot は長年 Goodreadsと「名言」キーワードをめぐって争ってきたからです。

Ahrefs のPage Inspectツールを見ると、このページの順位を維持するためにいくつか大きな変更が加えられていることがわかります。

なぜこれらのトピックにこだわるのでしょうか? HubSpotのような規模でフリーミアムモデルを共有する場合、中小企業のブログ以上に「無関係な」トラフィックが必要になるからです。この現象については、「大企業が質の悪いコンテンツを作成する理由」で詳しく説明しています。※フルスピード注:関連記事の翻訳版はこちら

3. 「プロダクトマーケティング」で1ページ目に(記事が)2つランクインしている

このスタントを真似できるか、幸運を祈ります:

なぜこれが大きな問題なのでしょうか? それは、同じ種類のコンテンツ(この場合はブログ投稿)が Google検索の1ページ目に2回ランクインすることは、非常にまれだからです。これについては、「キーワードの多様化: カニバリゼーションの2 つの影響(SEOスタディ)」で書きました。

これは「ランクインしないには大きすぎる」状況の1つでしょうか? HubSpotが考えるプロダクトマーケティングの知識を、なぜ検索結果で2回も知らされる必要があるのでしょうか。Ahrefsが1ページ目に2回ランク付けされているケースもありますが、これは少なくとも知識コンテンツとツール紹介ページという、2つの異なるものを提供している場合です。※フルスピード注:以下スクリーンショット参照。

おそらく、Googleに何か問題があるということでしょうか? 私に言わせれば、このSERPは検索エンジニアが集まって、ランキングシステムの品質について話し合うパネルとして最適なトピックです。

:HubSpot はかつて、サラウンドサウンドと呼ばれるSEO戦略について説明しました。サラウンドサウンドとは、自社コンテンツとサードパーティコンテンツを通じて、複数のコンテンツが検索上位に掲載されることを伴います。今回見た「HubSpotブログが同じキーワードで2つもランクインしている」という事象は、その戦略の結果という可能性があります。

4. HubSpotブログはDR93だが、検索意図を考慮することは重要

HubSpotは、典型的な製品ページ https://www.hubspot.com/products/crm(以下スクリーンショット、緑の折れ線)で、「crm」というキーワード(月間ボリューム 183,000、KD 85)のランキングに挑戦しましたが、1位を獲得することはできませんでした。

そこで数年後、彼らは純粋に情報収集の検索意図に応える、より教育的なスタイルのページ https://www.hubspot.com/products/crm/what-isを作成し、その戦略がうまくいきました (以下スクリーンショット、青の折れ線)。

新しく作ったほうのページでは、CRMの定義、CRMは誰がいつ使用すべきか、そしてどのように開発されたかについて、少し説明するだけで済みました。検索意図についての素晴らしい教訓です。

興味深いことに、ページが製品の売り込みで始まっても、Googleにとっては問題になりません。H1タグは情報があることを示していますが、視覚的にはすべてが登録ボタンにつながるので、これは奇妙です。

ページに「登録または学習」と書かれているので、Googleにとってはこれで十分だと思います。Googleはテキスト全体、人間の目、画像、ボタンを認識します。

実際、この二重の目的は利点の可能性もあります。検索者は再度検索するためにSERPへ戻る必要がなく、すべての検索ニーズがそのランディングページを通じて満たされるからです。

もう一つ興味深いのは、crmディレクトリから what-is-crmへのリンクがなかったことです。最初のページに移動したら、後者は見つからないはずです。

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5. 「マーケティングの業界現状レポート」は被リンクの金鉱

HubSpotは毎年、マーケティングの現状に関する業界レポートを発行しています。このレポートでは、注目のマーケティングトピックについて読者にアンケートを実施し、WistiaやLitmusなどの大手ブランドと提携しています。皆さんも一度は目にしたことがあると思います。

これが、被リンクの金鉱である理由です。このレポートのランディングページだけでなく、そのレポートから派生した他のすべてのページにも、大量の被リンクが存在します。

たとえば、最もリンクされているページは、ホームページ、リーガルページ、そして毎年恒例のマーケティング業界レポートが2回もリンク上位です。

これら2つの業界レポートページを合わせると、21,496件の参照ドメインから、88,892件の被リンクを獲得しており、同様のページは他にもいくつかあります。

これらの数値が非常に高い理由の1つは、マーケティング業界レポートが同じURLで維持されているため、毎年、新しい被リンクが基本的に同じページへ、バッチ送信されることです。そして、次の方法で注目度の高いリンクをいくつか取得します。

ここでのメリットは被リンクだけではありません。そのレポート、そのスピンオフであるランディングページ、そしてレポートのコンテンツから大きく引用された記事はすべて、オーガニックトラフィックを獲得します。

たとえば、ここでは「State of Marketing」のランキングは10位に過ぎませんが、スピンオフとして作られたページが3位にランクされているので、問題ありません。※フルスピード注:以下スクリーンショット参照。

今のところ確実なことは3つあります。死、税金、そしてHubSpotが来年もマーケティングの現状レポートを発行する予定だということです。

6. 1ページで、驚くほどのオーガニックトラフィックを獲得している

HubSpot には、リードマグネットとして機能する8つの無料スタンドアローンツールがあります。そのうち1つは、SEOの観点から明らかに際立っている「メール署名テンプレート ジェネレーター」です。

「メール 署名 テンプレート ジェネレーター」 — この4つの単語が、ページのほぼすべてのコンテンツを構成しています。

しかし、このページは約5,900件のキーワードでもランクインしており、毎月約134,000の無料トラフィック(オーガニック検索トラフィック)をGoogleから獲得し、さらに約22,700件の被リンクも獲得するのに十分な結果となりました。

このトラフィックは、HubSpotが費やす必要のない広告費として、172,000 ドル相当になります (代わりに、HubSpotは検索広告に推定で月2,600ドルを費やしています。これについては後で詳しく説明します)。

なぜ「メール 署名 テンプレート ジェネレーター」と数語で書かれたこのページが効果的なのでしょうか? 間違いなく検索意図に沿っているためです。メール署名に関するヘルプを探している人のほとんどは、署名の書き方ガイドではなく、テンプレートを作れるツールを求めています。

ここで、Ahrefsの有償プランユーザー向けのヒントをご紹介しましょう。キーワードエクスプローラーAI検索意図識別機能を使うと、どのような検索意図のコンテンツが最も多くトラフィックを獲得できるかを確認できます。

7. 5つの巨大なコンテンツハブがあるのに、わずか140のトラフィック?

HubSpotには5つの大きなコンテンツハブがあり、サイト上のページ内部リンクを探すとすぐに見つかります。

これらのハブ ページはすべて、HubSpotブログ全体で約 36,000 か所からリンクされています。

しかし、オーガニック検索トラフィックが最も多いページを(Ahrefsで)探しても、これらのページはどこにも見つかりません。それぞれのターゲットキーワードは、毎月何万ものトラフィックをもたらすはずなので、残念です。

これは、コンテンツハブ(別名:トピッククラスター)が常に上位表示されると期待すべきではないことの証拠です。また、HubSpotというコンテンツマーケティング戦術で知られるブランドから、このような報告が出ているというのは皮肉なことです。※フルスピード注:トピッククラスターの翻訳記事はこちら

とはいえ、これらのコンテンツハブはおそらくUX(または、リファラー経由のトラフィック促進)に最適であり、HubSpot のこの戦略に関する記事が示唆しているように、他のページの順位向上にも役立つ可能性があります。

8. 低パフォーマンスのコンテンツは、他をサポートするために削除されている

データを閲覧しているときに、Hubspotには異常に多くのページが失われていることがわかりました。

データを少し整理してみたところ、コンテンツの整理は珍しくないことがわかりました。2024年4月から6月の間​​に、少なくとも84ページが同じトピックまたは類似のトピックとなっている他のページにリダイレクトされました。※フルスピード注:コンテンツ整理の翻訳記事はこちら

なぜこんなことをしたのでしょうか? より有望なページの順位を上げるためにそうしているのだと思います。他のページでもこれを見たことがありますが、効果がありました。

たとえば、75個の参照ドメインと102個の被リンクを持つ https://blog.hubspot.com/marketing/how-to-create-embed-codes-generator-infographic-content-ht は、 https://blog.hubspot.com/marketing/how-to-add-html-embed-codes-ht へリダイレクトされました。

リダイレクト先となった最後のページは、実際に順位が上がっています(提供元とは異なります)。

これは賢い方法です。コンテンツのインベントリが大量にある場合は、試してみるのも良いでしょう。

9. 無料トラフィックが大量にありながら有料検索広告も行っている

最近、 SEOの価値について 100人のマーケター、SEO担当者、ビジネスオーナーの意見を集めたところ、ほとんどの人が次のように言っていました。「検索広告と比較すると、SEOはお金を使う価値のある方法です。多くの市場では、検索広告の代わりにSEOが使われています。しかし、HubSpot は違います。」※フルスピード注:SEOの価値の翻訳記事はこちら

HubSpotは膨大な量の無料トラフィックがあるにもかかわらず、依然としてトラフィックの一部を Googleから(検索広告で)購入しています。Ahrefsのデータによれば、HubSpotは2367個のキーワードに入札しており、CPCは0.01ドルから45.7ドルです。

検索広告として彼らが支払っているキーワードの種類は、次のとおりです:

  • 「無料 CRM」など、すでにランクインしているキーワード。おそらく、さらに多くSERPの領域を確保するためでしょう。典型的ですね。
  • 「hubspot 価格」のようなブランドキーワード。おそらく競合他社に先を越されないようにするためでしょう。これも典型的ですね。
  • 他社のブランドキーワードには、「less angry crm」などがあります。競合他社が自分のキーワードに入札するのと同じように、彼らも自分のキーワードに入札します。古典的、人生とはそういうものです。
  • Webサイトメーカー 無料」のように、他の方法では見つけにくいキーワード。これが最も興味深いキーワードの種類です。

それでは、このページを例に見てみましょう:2024 年にチェックすべき 7 つの無料ウェブサイトビルダー [+長所と短所]

当初、彼らはCMSを提供する前にページを作成しました。2022年後半にCMSを導入したとき、その機能について言及しているページへ、さらに多くのトラフィックを誘導する方法を見つける必要がありました。

残念なことに、以下のオーガニックトラフィック チャートでわかるように、CMS機能(以下スクリーンショットの、矢印が指している時期)を追加して以来、トラフィックはかなり不安定になっています。

不安定なのは、キーワード順位が上がったり下がったりし続けるためです。より定評のあるWebサイト構築ツールは、おそらくその分野での権威があるため、ランキングに載ります。

例:「Webサイト メーカー 無料」は検索ボリューム2,500、KD(キーワード難易度)98 です。以下に順位履歴チャートを示します。

Ahrefsのサイトエクスプローラーでは、広告の掲載順位履歴を確認できます。以下のスクリーンショットは、HubSpotがこれらのキーワードを購入する方がよいだろうと認識した時期を示しています。

広告入札はうまくいきました。つまり、有料検索で「Webサイトメーカー 無料」というキーワードからいくらかトラフィックを絞り出しているようです。

これは賢いやり方だと思います。キーワードの中には、見つけるのが非常に難しいものもあります。SEOのトリックが機能しないけれども、そのキーワードにまだ価値がある場合は、順位を上げるための巧妙なSEO戦術を考案するのに時間を無駄にするより、そのキーワードに有料検索として入札する方が合理的なとります。

まとめ

Ahrefs有償プランユーザー向けに、ちょっとしたボーナスを紹介:HubSpotからリンクを獲得したい場合は、3080個の壊れた発リンクの一部を削除できるように、協力してください。

「サイトエクスプローラー」 > 「発信リンク」 > 「リンク切れ」レポートに移動しますリンク切れを使ったリンク構築に関するガイドもお読みください)。※フルスピード注:リンク切れを使ったリンク構築ガイドの翻訳記事はこちら

HubSpotのSEO戦略について、皆さんが見つけた興味深い発見を共有したいですか? この記事についてコメントはありますか? 著者のXまたはLinkedInでお知らせください。

著者プロフィール

Mateusz Makosiewicz
Ahrefs のマーケティング研究者兼教育者。Mateusz は、代理店、SaaS、ハードウェア ビジネスで 10 年以上のマーケティング経験を持っています。執筆活動をしていないときは、音楽を作曲したり、長い散歩を楽しんでいます。
XLinkedIn

  • ・コンテンツが少なく、Webサイトのアクセスが伸びない。
  • ・競合サイトに検索順位で後れを取っている。
  • ・リンク獲得ができず、Webサイトが評価されない。
  • ・お問合せや資料請求のコンバージョンが増えない。

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