この記事はAhrefs公式ブログの日本語訳です。
原文:How to Convince Your Boss to Invest in SEO
(Joshua Hardwick / 原文の最終更新日: July 8, 2021)
フルスピードによるこの記事の要約:
- 上司にSEO施策の投資をするよう説得する方法やポイントがまとめられています。
- SEOの損益分岐点について紹介しています。
上司にSEO施策の投資をするように説得するには?
もしこの記事を見ているあなたがWeb担当者で、SEOがあなたの会社のウェブサイトにとって良い投資になることをすでに知っており、SEO施策を導入したいと思った場合、最初のステップはあなたの上司の賛同を得ることが必要です。
Ahrefs社のようにSEOの価値と重要性を理解している上司がいる場合や、技術面で先進的な企業で働いている場合なら簡単かもしれませんが、Webに精通していない上司が相手の場合にはもっと難しいかもしれません。
この記事では、上司を説得させるための方法や勝つ可能性が高い議論を構築する方法について説明します。
なぜ上司を説得するべきなのか?
SEOの施策は、企業のウェブサイトにトラフィックと売上をもたらし、収益を向上させる力を持っています。あなたが勤めている会社のマーケティングチームであれば、基本的にあなたの仕事内容です。
しかし、これはあなたにとって、褒められる以外にどんなメリットがあるでしょうか?
もし、あなたが会社の利益に貢献するマーケティングのアイデアに投資するよう上司を説得できれば、それを将来に生かすことができます。昇給や昇進、あるいはリソースの増加に利用できるかもしれません。その可能性は無限大です。
上司にSEOに投資するよう説得する方法
もしあなたが上司を説得してSEOに投資することが正しい行動だと思っているなら、まず考えなければならないのは、上司の説得です。
あなたの上司はおそらくSEOについて関心を抱いてないでしょう。彼らが気にしているのは、基本的に目先の利益です。(フルスピード注釈:SEOは基本的に中長期的に行う施策であることから、基本的に短期間での成果を得ることは難しい施策になります。)このことを念頭に置いて議論を展開しましょう。
トラフィック、被リンク、ウェブサイトのオーソリティなど、私たちマーケターが興奮するものを中心にピッチを組み立てると、説得するのは難しくなってしまうでしょう。そのため、あなたはSEOが上司の収入を増やし、彼らのビジネス目標を達成するのに役立つことを説明する必要があります。
では、その方法を順を追って説明していきましょう。
ステップ1. 結果を出す
まずは、上司に最初からあなたのピッチに興味を持ってもらうことが重要です。そのためには、「最終結果」を提示することです。言い換えれば、あなたが売り込んでいるものがどのように意図された結果なのかを説明することです。
では、どうすればいいのでしょうか?
以下の文章の空欄を埋めていきましょう。
SEOに投資することで、[時間枠]内に[成果]を達成することができます。
ここでは、成果をビジネスゴールに結びつけるようにしましょう。上司が気にかけていることであるべきで、「トラフィックの増加」や「被リンクの増加」のような恣意的なものではありません。
例えば、次のようなものです。
SEOに投資することで、有料のトラフィックをオーガニックなトラフィックに置き換えることで、広告費を毎月15,000ドル削減することができます。
提案するときに伝える結果はできるだけ具体的にしますが、何もないところから引き出すのはやめましょう。現実的なものでなければなりません。また、過大な約束をするより、まずは小さいことから叶える約束をしたほうがいいでしょう。
ステップ2. ロジックを説明する
望ましい結果を提示するのは簡単なことです。あとは、提案した解決策である、SEOに投資することが提案された結果につながる方法かつ理由を説明しなければなりません。
ロジックを説明するには、データが必要です。
例えば、あなたがEコマースの仕事をしているとします。Google Adsのアカウントを調べてみると、現在、Google Adsで20個のキーワードに入札しており、毎月15,000ドルを支払っていることがわかりました。Google Analyticsのデータを見ると、このトラフィックは平均して月に4万ドルの売り上げに貢献していることがわかります。
もし、SEOでこれらのキーワードでオーガニック検索での順位を上げることができれば、そのトラフィックを広告に投資することなく「無料」で得ることができます。
さらに良いことに、人気のあるキーワードで検索結果の1ページ目にランクインしているページの大半は、他の何百ものキーワードでもランクインしているので、検索結果にランクインすることは、(時間はかかるものの最終的に)おそらく広告よりも多くの売上をもたらすでしょう。
上司にこの点を説明するには、ターゲットキーワードで上位にランクインしたページをAhrefsのサイトエクスプローラーに接続し、トラフィックバリューの指標をチェックします。これは、そのページの月間オーガニック検索トラフィックの推定「値」です。
つまり、上記のページでは、オーガニックで得られるトラフィックを「無料」で得るためには、Google広告に毎月43,500ドルを費やす必要があるということです。
この数字を使って、SEOに投資した場合の収益増加の可能性を試算し、上司に提示することもできます。このように説明することで、あなたが下調べをしたこと、そしてあなたの提案が単なる「絵空事」ではないことを示すことができます。
ステップ3. ロードマップを作成する
上司があなたのしっかりとした売り込みと調査に納得したと仮定すると、次に知りたいのはどうやってSEOを導入するのかということです。
SEOの専門用語で頭がいっぱいになりがちなので、全体像に集中するようにしましょう。
例えば、Ahrefsのサイト監査であなたのサイトをクロールして、SEOに関する問題を見つけたとします。そこで、上司に、サイトのファセットナビゲーションが重複コンテンツの問題を引き起こしており、適切な正規化で修正する必要があることを30分かけてレクチャーしてはいけません。異国の言葉を話し始めたかのように、上司の目が曇ってしまうかもしれません。
上司を味方につけたいなら、物事をシンプルにしましょう。この場合は、ヘルススコアが競合他社と比べていかに劣っているかを示すことになるでしょう。
ここでは2つのことを伝えましょう。
- 何をしようとしているのか、なぜするのか
- 必要なリソース
リソースとは、従業員、外注先、ツールなど、ロードマップの実行に必要なあらゆるものを指します。
新しい従業員や外注先を見つける必要がある場合は、誰がその人たちを管理し、トレーニングするのかを検討し、説明することも重要です。上司には、あなたがすべてを解決し、計画が現実的であることをアピールしましょう。
ステップ4. 数字について話す
投資効果が期待できないプロジェクトに許可を出す上司はいません。あなたがたくさんのリソースをリストアップしただけでは、上司は「これにどれだけの費用がかかるのだろう?」と言われてしまう可能性が高いです。
このプロセス自体はとても簡単で、スプレッドシートに、先ほど説明したリソースをすべて値付けするだけです。SEOツールやソフトウェアの場合は、ほとんどのものが価格設定ページを公開しているので、簡単にできます。自分に合ったプランを選べばいいのです。
従業員やフリーランサーの場合は、平均給与をグーグルで検索したり、フリーランスのウェブサイトで平均時給を調べたりします。
最終的なスプレッドシートはこのような形になります。
これは良いスタートですが、重要なことであるROIについては上司に何も伝えていません。残念ながら、このROIを計算するのは思ったよりも難しいです。なぜなら、最初のプロジェクトが終了した後も、SEOの施策をすればずっと実を結び続けるからです。
そのため、「損益分岐点」のグラフを作成することをお勧めします。これは、SEOへの投資を回収するために必要な期間を示すものです。
例えば、プロジェクトの予想コストが月々5,127ドルだとします。SEOの施策には時間がかかるので、悲観的に考えて、最初の6ヶ月間は収益が上がらず、12ヶ月目に40,000ドルまで徐々に増加して広告費の必要性がなくなると仮定します。
それがどのようなものかというと、次のようになります。
このケースでは、12ヶ月目に「損益分岐点」があることがわかります。
ただ、ここでは少し抑えた数字を使うことを忘れないでください。結局のところ、あなたが提案した「損益分岐点」の時期が来た瞬間に、上司があなたの首を絞めるようなことがあってはならないのです。また、この数字はあくまでも推定値であり、これがコミットするわけではないこと、何かを保証するものではないことを明確にしておきましょう。
ステップ5. 根拠のない話やSEOへの反対意見を説得する
ここまで説得できれば、ほとんど問題はないはずですが、上司はまだいくつかの質問や懸念を持っているでしょう。質問の内容は様々なので、これらに答えるには少し頭を使う必要がありますが、いくつかの共通した懸念事項が出てくる傾向があります。
そのいくつかを見てみましょう。
“SEOは蛇足ではないか?”
世の中には不誠実なSEOサービスが数多く存在することを考えれば、この質問はもっともなことです(1ページ目のランキングを約束するような営業電話を受けたことは誰にでもあるでしょう)。
しかし、あまり身構えずにこの問題に取り組むにはどうしたらよいでしょうか?
一番の出発点は、正直に話すことです。弱い立場の経営者を食い物にするようなSEOサービス業者がいる一方で、SEOのプロセス自体は合法であることを説明します。SEOとは、Googleのランキング要因に影響を与え、検索結果でページが上位に表示されるようにするプロセスにすぎません。
また、「社会的証明」を活用することもできます。例えば、マーケティング担当者の60%が、SEOのようなインバウンドマーケティングの実践が、最も質の高いリードの源であると答えていることを証明することができます。
さらに踏み込みたい場合は、AhrefsのSite Explorerに掲載されている、好調な競合他社の「トラフィックバリュー」の指標を上司に見せることを検討します。競合他社Aが、月に推定XXXX件のオーガニック訪問を受け、XXXXドルの価値を得ていることを説明すれば、SEOがどれほど効果的であるかを実感できるでしょう。
“SEOは時間がかかるのではないか?”
SEO対策には時間がかかるので、これも正直に話すのが一番です。施策をして一夜にして順位が上がることはありません。
実際、200万のキーワードを調査したところ、1年以内にトップ10にランクインしたページはわずか5.7%でした。
多くの上司は、マーケティングに銀の弾丸は存在しないことを知っていますので、時間がかかることを説明することは必ずしも悪いことではありません。これを正直に離すことは、あなたが物事の仕組みを理解し、現実的な見通しを持っていることを示します。ネガティブではなく、ポジティブに考えてください。
“Googleのアップデートやペナルティで順位が下がったらどうする?”
Googleのアップデートやペナルティは怖い話題ですが、それは当然のことです。ペナルティを受けたことで、オーガニックトラフィックが一夜にして消えてしまったサイトはたくさんあります。
その一例をご紹介しましょう。
上の画像は、Ahrefsのサイトエクスプローラを介して確認した、推定トラフィックが大幅に減少したウェブサイトの例です。
しかし、「倫理的な」SEOのベストプラクティスに従っていれば、手動ペナルティはあまり気にする必要はありません。
ただし、Googleは年に数回、ランキングアルゴリズムを更新しています。これらはトラフィックに悪影響を与える可能性がありますが、完全に消えてしまうことはありません。通常は、トラフィックが少し減ったり増えたりするだけで、まったく変化がないということもあります。
まとめ
SEOへの投資を上司に説得するのは難しいことですが、その効果は絶大です。しかし、その効果は絶大です。SEOに特化したコンテンツに投資することで、多くの顧客を獲得し、SEO業界の中で当社のブランドを確固たるものにすることができました。
あなたの会社でも同じことをしたいのであれば、上司の言葉を学び、彼らの心に響くように物事を組み立てていく必要があります。SEOの専門用語は、リテラシーがあり、気心の知れた同僚との会話で使うようにしましょう。
Joshua Hardwickーコンテンツ責任者@Ahrefs(またはわかりやすく言うと、私はブログで公開される記事がどれも素晴らしい品質だと保証するための責任者です)
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