この記事はAhrefs公式ブログの日本語訳です。
https://ahrefs.com/blog/keyword-research/
(著者:Tim Soulo / 原文の最終更新日:September 13, 2022)
キーワードは、SEOの基本です。もし、あなたの書いていることが誰にも検索されていなければ、どんなに頑張ってもGoogleからトラフィックを得ることはできないでしょう。
だからこそ、キーワード調査の技術をマスターすることは、SEOで成功するためにとても重要なのです。キーワードを間違えると、その代償はあまりにも大きくなります。間違ったキーワードを選んだ場合、時間とリソースが水の泡となる危険性があります。
決して脅すつもりはありません。キーワード調査はロケット・サイエンスではありません。実際、あなたはわずか20分ほどで、そのほとんどを学ぼうとしています。しかし、より良いSEOの意思決定をするために知っておくべき重要な注意点や誤解が、かなりあります。
では、さっそく潜入してみましょう。
第1部 キーワード調査の基本
SEOの初心者であれば、キーワード調査とは何なのか、なぜそんなに重要なのか、疑問に思っていることでしょう。この短い章は、そんなあなたのためのものです。
すでに理解されている場合は、次の章に進んでください。
キーワード調査とは?
キーワード調査とは、ターゲットとなる顧客が商品、サービス、情報を探すためにGoogleなどの検索エンジンに入力する、価値ある検索クエリを発見するプロセスのことです。
なぜキーワード調査が重要なのか?
誰も検索していないトピックのページを公開しても、その記事はGoogle(または他の検索エンジン)からトラフィックを得ることはありません。
多くのウェブサイト運営者がそのような間違いを犯しており、私たちの調査で判明した、インターネット上の90.63%のページがGoogleからトラフィックを得られない理由の一部になっています。
キーワードを調査することで、あなたが書きたいことに検索需要があるかどうか確認することができます。このように、あなたのページがGoogleでターゲットとしているキーワードで上位表示されるようになれば、そのページのターゲットとなった訪問者からの一貫したトラフィックをを享受できるようになります。
第2部 キーワードアイデアの見つけ方
キーワード調査は、顧客の立場に立って考えることから始まります。
顧客が問題の解決策を見つけるために、どのような言葉やフレーズを使うだろうか?
これらをAhrefsのキーワードエクスプローラーのようなキーワード調査ツールに入力すると、今思いついたキーワードの他に、さらに何千もの関連するキーワードのアイデアが見つかるはずです。
簡単な作業ですが、うまくやるには下記2つのことが必要です。
- あなたの業界に関する知識が豊富であること
- キーワード調査ツールの仕組みを理解していること
それが、このパートのテーマです。
1.シードキーワードをブレストする
シードキーワードは、キーワード調査の出発点です。ニッチを定義し、競合を特定するのに役立ちます。どのキーワード調査ツールも、シードキーワードをリクエストすることで、それを使ってキーワードアイデアの膨大なリストを生成します(詳しくは後述します)。
もし、あなたがオンラインで宣伝したい製品やビジネスがすでにあるのなら、キーワードを考えるのは簡単です。Googleに何を入力したら、あなたの商品を見つけられるかを考えるだけです。
例えば、コーヒーやコーヒーメーカーを販売しているのであれば、シードとなるキーワードは次のようになります。
- コーヒー
- カプチーノ
- フレンチプレス
- ネスプレッソ
- などなど
なお、シードキーワードそのものは、必ずしもウェブサイトのページでターゲットにする価値があるわけではありません。その名の通り、次のステップに進むための「種(seeds)」として使うのです。ですから、シードキーワードにこだわりすぎないでください。キーワードを特定するのに数分しかかからないはずです。
ウェブサイトのトピックに関連する大まかなアイデアがまとまったら、すぐに次のステップに進みましょう。
2.競合がどのようなキーワードでランクインしているかを確認する
通常、キーワード調査を加速させる最良の方法は、どのキーワードがすでに競合他社へトラフィックを送っているかを調べることです。しかしその前に、競合他社を特定する必要があります。そこで、ブレインストーミングで作成したキーワードのリストが役に立ちます。キーワードの一つをGoogleで検索し、トップページにランクインしている企業を確認します。
シードとなるキーワードで上位表示されているサイトの中に、あなたのサイト(またはあなたが目指そうとしているサイト)と似ているものがない場合は、もう少し具体的に検索してみるべきです。
例えば、あなたのサイトでコーヒーメーカーを販売している場合、”カプチーノ”よりも”カプチーノメーカー”の方が、検索結果に実際の競合が多く表示されることがあります。それは、前者にはあなたのようなeコマースショップが、後者にはブログがランキングされていることがほとんどだからです。
該当する競合サイトを見つけたら、Ahrefsのサイトエクスプローラーのような競合情報分析ツールに接続し、どのページが最もトラフィックをもたらしているか、これらのページがどのようなキーワードをターゲットにしているかを確認する必要があります。
競合も含めてこのプロセスを繰り返すと、かなりの数の関連キーワードのリストができあがります。まだキーワード調査を始めて間もないのに、です。
これらのキーワードアイデアが、純粋な情報提供(ブログ記事など)なのか、商業的な意図(商品ページなど)なのかは、キーワード調査の後で判断することになります。今のところの目標は、関連するキーワードアイデアをできるだけ多く集めることです。
できるだけ多くの競合について、上記のプロセスを繰り返すようにしてください。サイトエクスプローラーに便利なレポートがあり、これを使えばより多くの競合を発見することができます。これは「競合ドメイン」と呼ばれ、Googleでランク付けされた共通のキーワードに基づいて、入力したウェブサイトと類似したウェブサイトを表示します。
あなたは以前扱ったことのあるトピックをたくさん見ていますか?
既に確立されたウェブサイトのキーワード調査を行っている場合、競合のほとんどのキーワードをすでにカバーしていることがわかるかもしれません。この場合、Ahrefsのサイトエクスプローラーのコンテンツギャップレポートを使用してみてください。
このレポートでは、競合が1つ以上ランクインしているが、あなたがランクインしていないキーワードを見つけることができます。
使い方は、上部に競合ウェブサイトをいくつか入力し、下部のフィールドに自分のサイトを貼り付け、「キーワードを表示」をクリックするだけです。
コンテンツギャップレポートについては、こちらの動画で詳しく解説しています。
3.キーワード調査ツールを使う
競合サイトは、キーワードアイデアを得るための素晴らしい情報源となります。しかし、競合がまだカバーしていないキーワードもたくさんある可能性が非常に高いです。様々なキーワード調査ツールを使えば、これらを見つけることができます。
キーワード調査ツールは、どれも同じように機能します。キーワードを入力すると、そのキーワードをもとにデータベースからアイデアを引き出します。
Google Keyword Planner(略してGKP)は、おそらく最もよく知られたキーワードツールです。無料で使用でき、Googleで有料広告を表示したい人向けに作られていますが、SEO目的のキーワードを探すのにも使えます。
シードキーワード「コーヒー」に対して、GKPが教えてくれたキーワードのアイデアを紹介します。
ここで重要なのは、GKPは必ずしもシードとなるキーワードが含まれていないキーワードアイデアを生成することが可能だということです。例えば、「パーコレーター(フルスピード注:コーヒーを抽出する道具)」というキーワードがあります。よほどのコーヒー通でない限り、これがコーヒーに関係するものだとは思わないでしょう。このように、GKPは明白でないキーワードアイデアを発見するのに非常に便利なツールなのです。
そのような面白いキーワードを発見したら、いつでもそれを新しいシードキーワードとして使ってみて、そこからどのような新しいキーワードアイデアが得られるかを見てみるのです。
Keyword Planner以外にも、無料のキーワード調査ツールはたくさんあります。これらは、SEOを始めたばかりの方には最適ですが、データや機能面でかなり制限されていることにすぐに気がつくでしょう。
したがって、ウェブサイトへの検索トラフィックを増やすことにコミットすると決めたら、無料範囲を超えて、「プロフェッショナル」なキーワード調査ツールを使用したほうがよいでしょう。Ahrefsのキーワードエクスプローラーのようなものです。
シードキーワードをいくつか入力し、キーワードアイデアがいくつ出てくるか見てみましょう。
390万キーワード!?これほど膨大な数のキーワードを扱うことができる無料ツールはありません。
扱うキーワードの数が圧倒的に多いように思えるかもしれません。その通りです。しかし、心配はご無用です。このガイドの後半で、ツールの中でキーワードを絞り込む方法を学びます。
とりあえず、キーワードエクスプローラーにある、大きく分けて2種類のキーワードアイデアレポートの違いを簡単に説明しておきますね。
単語一致(Matching terms)
このレポートは、あなたのシードキーワードが含まれているキーワードアイデアだけを表示します。このレポートには2つのモードがあります。”単語一致” と “フレーズ一致” です。
“単語一致 “は、シードキーワードのすべての単語が含まれているキーワードアイデアを表示します(具体的な位置や順序は問いません)。つまり、シードキーワードが「コーヒーメーカー」であれば、以下のようなキーワードが表示されます。
- コーヒー自動販売機
- マシンガンケリーコーヒーショップ
“フレーズ一致”は、シードキーワードの単語が正確に入力された順序で含まれているキーワードアイデアのみを返します。例えば:
- ベストコーヒーマシン
- グラインダー付きコーヒーマシン
関連単語(Related terms)
このレポートでは、必ずしもシーズキーワードが含まれていないキーワードアイデアが表示されます。また、このレポートには2つのモードがあります。”こちらもランクイン(Also rank for)”と “こちらについても言及(Also talk about)”の2つのモードがあります。
“こちらもランクイン”は、シードキーワードの上位ランキングページが、ほかにもランクインしている検索クエリも表示します。
“こちらについても言及”では、シードキーワードに関連するトップランキングページで頻繁に言及される単語やフレーズを表示します。
4.ニッチ(分野、業界)を研究する
ここまで話したことは、キーワードアイデアをほぼ無限に生成するのに十分です。しかし、同時に、プロセスはある種の「箱」に閉じ込められたままになってしまいます。
この問題は、ターゲットオーディエンスが集まる場所、業界フォーラム、グループ、Q&Aサイトに行き、彼らの会話を研究することで解決できます。
たとえば、ここに/r/coffee subredditで見つけたスレッドがあります:
キーワードエクスプローラーで調べてみると、こんな検索クエリがありました。”エアロプレス コーヒーと水の比率”月にわずか150回しか検索されていませんが、このトピックがRedditで42の投票を獲得したということは、人々がこの知識を本当に高く評価しているということです。さらに、Redditのスレッドの内容は、将来のコンテンツ作成の基盤として役立つかもしれません。
業界フォーラムを閲覧する以外に、既存の顧客もキーワードアイデアの素晴らしい源になる場合があります。次に彼らと話すときは、彼らが使う言葉やよく尋ねてくる質問に注意を払うよう覚えておいてください。これにより、あなたのウェブサイトでカバーしたほうがいい、独自のキーワードアイデアにつながる可能性があります。
第3部 キーワードの分析方法
何百万ものキーワードアイデアにアクセスできることは、非常に良いことです。しかし、どれが最適なのかをどうやって知るのでしょうか?手作業ですべてを見ることはほぼ不可能なタスクになります。
解決策は簡単です。キーワードリストに追加する前に、SEOの指標を使って絞り込み、良いもの/悪いものを見分けることができます。
ここでは、これを行うために使用できる4つのキーワード指標を探ってみましょう。
検索ボリューム
検索ボリュームは、キーワードが1ヶ月あたりに平均的に検索される回数を示します。
例えば、「donald trump」は、米国だけで1か月あたり310万の検索ボリュームがあります。
検索ボリューム指標について知っておくべき、重要な4つのポイントがあります。
- 検索数の合計であり、検索を行った人数ではないこと ー 「シンガポールの天気」というキーワードを、1か月に複数回検索する場合があります。そのような場合、同じ人が何度も検索しているにもかかわらず、そのキーワードの検索ボリュームに寄与します。
- ランクインできたとして、そのキーワードからどれだけの訪問者が送られてくるかは等しくないこと ー たとえランキング1位を達成しても、そのキーワードからのトラフィックは検索ボリュームの30%を超えることはめったにありません。もしそのキーワードから30%のトラフィックが得られた場合、あなたは幸運といえるでしょう。
- 1年間の平均値であること ー 12月に1つのキーワードに対して120,000回の検索があったが、その他の11か月は検索がなかった場合、そのキーワードの報告される月間検索ボリュームは10,000になります(120,000÷12か月で平均値が算出されます)。
- 国によって異なること ー キーワードツールは通常、選択した国の検索ボリュームを表示します。しかし、それらの中には、全世界の検索ボリュームを表示するオプションもあるものがあります。
ほとんどのキーワード調査ツールには、特定の人気範囲内のキーワードアイデアにフォーカスできるように、検索ボリュームフィルタがあります。これには2つの主な用途があります。
- 超高ボリュームキーワードをフィルタリングする ー もしあなたのサイトが新しいのであれば、月間の検索数が10,000以上のキーワードは、競争力が高すぎる可能性が高いので、そこにランクインするためにリソースを割くような時間は無駄にしたくないでしょう。
- 低ボリュームキーワードを特定してフィルタリングする ー 簡単に少しのトラフィックを得ることができる競争力のない低ボリュームキーワードを見つけたい場合があります。これらはしばしば「ロングテールキーワード」と呼ばれます。
ロングテールキーワードはSEOでよく知られていますが、しばしば見過ごされています。少なくとも100回以上検索されない限り、誰もそのキーワードを狙いたいとは思いません。検索ボリュームがゼロである場合は、なおさらです。
多くの場合、「ゼロボリューム」のキーワードは、ランキングを上げても1か月あたりわずか数人の訪問者しかもたらしません。しかし、これらのキーワードが蓄積されれば、100本の記事を投稿してこれらのキーワードをターゲットにすると、年間の総訪問者数は数千人に達する場合があります。
低検索ボリュームキーワードを無視することは、初心者のよくあるミスです。人気のあるキーワードと同じくらい有用です。しばしば、より具体的で商業的な価値が高いです。
また、検索ボリュームについて覚えておくべき重要なことは、ツールごとに若干異なる場合があるということです。これは、各ツールがこの指標を異なる方法で計算および更新しているためです。
全体として、検索ボリュームはSEOにおいて非常に重要な指標であるため、それに関する私が書いたこの専門記事を読むことを強くお勧めします。
検索ボリュームの傾向に注意を払ってください
検索ボリュームは年間平均であり、ある検索クエリの将来的な検索需要に関しては、誤解を招くことがよくあります。あるキーワードが急激に人気が出た場合、その平均検索ボリュームが膨らむ一方で、実際の人気はそこから下降する可能性があります。
例えば、NFTゲームの「Axie Infinity」は2021年7月に検索ボリュームが急激に増加しました。しかし、その後は下降傾向にあり、平均検索ボリュームは16.9万と報告されているにもかかわらず、先月の検索ボリュームは実際には3.9万と推定されています。今後の数か月で、さらに低下する可能性があります。
もしそのようなツールを聞いたことがなければ、Google Trendsはトレンド検索を分析するための素晴らしい無料ツールです。私たちはそれを使う方法について、かなり詳細なガイドを書いていますので、参考にしてください。
トラフィックポテンシャル
以下の2キーワードの米国における検索ボリュームは、ほぼ同じです。
つまり、それぞれをターゲットにした場合に得られる検索トラフィックの量も、ほぼ同じになるはずですよね?
もちろん、実際にはそうではありません。
それでは、これらのキーワードのトップランキングページを取得し、それぞれの米国における検索トラフィックを比較してみましょう。これは、彼らのURLをAhrefsのサイトエクスプローラーにコピペすることで簡単に行うことができます。
さらに、これらのページのうちの1つが、実際にはもう1つのページよりもほぼ5倍の検索トラフィックを得ていることが分かりました。
それはどうしてでしょう?
それは、ウェブページがGoogleで単一のキーワードだけにランク付けされるわけではないからです。上記2つのスクリーンショットを注意深く見ると、”Sales page”のトップランキングページはGoogleで55個のキーワードでランクインしていることがわかります(「Organic keywords」というタイルを確認してください)。
”Submit website to search engines”のトップランキングページは、合計406個の異なるキーワードでランクインしています。
以下はそのいくつかの例です(サイトエクスプローラーのオーガニックキーワードレポートで確認できます)。
どんな検索クエリを考えても、基本的には同じものを探しているにもかかわらず、人によって言い回しが異なります。Googleは、そのことを十分に理解しています。そのため、同じページをこれらの似たような検索クエリに対してランク付けします。
私たちは以前からこの「現象」を研究していましたが、トップランキングページの平均的なものは、約1,000の類似したキーワードに対してランク付けされることが分かりました。
つまり、そのページが何らかのキーワードで順位が上がる場合、単一のキーワードが持つ検索ボリュームだけに依存して、そのページが取得する検索トラフィックを見積もることはできないということです。代わりに、そのキーワードのトップランキングページを調べ、それらがランクインしているキーワードのバリエーション全体から、総検索トラフィックがどれだけあるかを確認する必要があります。
Ahrefsでは、キーワードを分析する際にこの点を考慮することが非常に重要であると考え、それに対応するための専用指標を開発しました。それは「トラフィックポテンシャル」と呼ばれ、キーワードのトップランキングページがどの程度の検索トラフィックを得ているかを示します。
Ahrefsのキーワードエクスプローラーでは、トラフィックポテンシャル指標が検索ボリュームのすぐ隣に配置されています。これにより、そのキーワードの1位にランクインしているページと総検索トラフィックがどれくらいあるかを調べるために、多くの時間を節約できます。
ただし、検索ボリュームとトラフィックポテンシャル指標は国によって異なります。したがって、上位ランキングのページについて世界中からの検索トラフィックを評価する必要がある場合は、「すべての国」モードが選択されたサイトエクスプローラーを使用する必要があります。
キーワード難易度
経験豊富なSEO専門家は、通常、各キーワードのランキング難易度を手動で測定します。つまり、各キーワードの検索結果を見て分析します。彼らは多くの異なる要因を考慮して、あなたのページをランクインさせることがどれだけ難しいか簡単かを判断します。
- 検索意図
- コンテンツの深さ、関連性、新鮮さ、権威性
- 被リンク数(および品質)
- ドメインの評価
- SERPの特徴
- など
このプロセスは人によって異なり、何が重要で何が重要でないかについては正確な合意がないため、意見が分かれることがあります。
1人はドメインの評価が重要だと考え、別の人は関連性がより重要だと考えるかもしれません。また、分析している検索クエリのタイプによって意見が異なる場合もあります。なぜなら、異なる種類のクエリに対して、Googleは異なることを優先するからです。
これらすべての要因が、SEOツールの開発者にとっては少し困難をもたらします。彼らは、ランキング難易度という複雑で細かい概念を、2桁の単純な数字にまとめようとしています。
しかし、多くのプロのSEOに、実行可能なキーワード難易度(KD)スコアが考慮すべきシグナルについて話を聞いた結果、誰もが同意したことが少なくとも1つあったことに気付きました。それは、ランキングには被リンクが非常に重要であるということです。
そこで、最終的に私たちはキーワードの難易度(KD)スコアを、上位10件のページにリンクしている一意のウェブサイトの数に基づいて決定することにしました。
上記の画像で見られるように、KDは、あなたのページがトップ10にランクインするために必要なリンクウェブサイトの推定数に関連しています。
理解できましたか?これは、あなたが1位表示となるために必要な推定リンクウェブサイト数ではありません。これは上位10件にランクインするために必要な推定数です。1位になることは全く異なる戦いです。
多くの人が、0から10までのフィルタを設定し、簡単なキーワードアイデアに焦点を当ててKDメトリックを誤用していますが、高KDキーワードを避けることが誤りである理由は次のとおりです。
1.遅かれ早かれ、いずれは高KDキーワードを狙うべきです ー 高KDキーワードのランキングに必要な被リンクは多く、時間とリソースがかかります。ですので、できるだけ早くページを作成し、プロモーションを開始することが得策です。早く始めれば、早く到達できます。
2.高KDキーワードをリンクの機会として考えるべきです ー 一部のキーワードのトップランキングページが多くの被リンクを持っていることは、「リンクに値する」トピックの兆候です。そのトピックにオリジナルのものを作成すれば、多くの人があなたにリンクする可能性が高いです。
結論として、KDは特定のキーワードをターゲットにしないようあなたを妨害するためではありません。むしろ、特定クエリでのランクインを獲得するために必要なこと(および、与えられたトピックの「リンクの価値性」)を理解するのに役立ちます。
ツールの難易度スコアだけに頼って最終的な決定をする前に、常に手動でキーワードを評価する必要があることを知っておいてください。1つのスコアでGoogleのランキングアルゴリズムの複雑さを簡単にまとめることはできません。それができると示唆するツールの開発者には注意が必要です。
クリック単価(CPC)
クリック単価=Cost Per Click (CPC)とは、特定のキーワードに対して検索結果の上部に表示される広告について、クリック1回あたりに広告主が支払うことをどの程度意思決定しているかを示すものです。これは主に広告主向けの指標であり、SEOにとってはそれほど重要ではありませんが、キーワードの価値を示す有用な代理指標となることがあります。
例えば、「プロジェクト管理ソフト」というキーワードは、CPCが30ドルとかなり高いです。それは、検索する人が商品を買うために探しているように見えるからです。
しかし、「プロジェクト管理手法」というキーワードについては別の話です。これは明らかに情報検索クエリであり、このような人々にプロジェクト管理ソフトウェアを販売する可能性はあまり高くありません。そのため、CPCは$6とかなり低いです。
CPCについて知っておくべき重要なことは、検索ボリュームよりもはるかに不安定であるということです。ほとんどのキーワードの検索需要は月々ほぼ同じままである一方、CPCはより多くの企業がそのキーワードに向けた広告を出稿するにつれて、いつでも変動する可能性があります。
これは、さまざまなSEOツールで見られるCPC値が、単なる時間のスナップショットであり、正確ではないことを意味します。リアルタイムのCPCデータを取得したい場合は、AdWordsを使用することをおすすめします。
第4部 キーワードの狙いかた
キーワードを分析する上で非常に重要なステップは、ランクインするチャンスを最大化するために、どのようなページを作成する必要があるのかを特定することです。そして、そのページを使用して一度に関連キーワードグループをターゲットにすることができるかどうかを考えることです。または、いくつか追加ページを作成して、個別にキーワードをターゲットにすることができます。
では、それらを決定する方法を見てみましょう。
親トピックの特定
次のキーワードがリストにあるとしましょう。
これらの検索クエリは、すべて同じトピック:”ホイップコーヒー”について話しているようです。しかし、1つのページでこれらすべてのキーワードで上位表示できるのでしょうか?それとも、それぞれのキーワードをターゲットにした個別のページを作成する必要があるのでしょうか?
答えは、Googleがこれらのキーワードをどのように見ているかに大きく依存します。それらを同じトピックの一部と見なしているのか、または個別のトピックと見なしているのか、Googleはどう見ているのでしょうか?
これについては、1つずつこれらのキーワードを検索し、検索結果を比較することで把握できます。たとえば、「ホイップコーヒー」というキーワードの検索結果と、「ホイップコーヒー レシピ」というキーワードの検索結果とで比較してみましょう。
両方のキーワードのトップランキングページはほぼ同じです。これは、Googleが検索クエリ「ホイップコーヒー レシピ」を、より一般的なクエリ「ホイップコーヒー」のサブトピックと見なしていることを意味します。したがって、1つのページで両方のキーワードの順位を高めることができます。
次に、「ホイップコーヒー」と「砂糖なしのホイップコーヒー」の検索結果を比較してみましょう。
今回は、2つの検索結果には全く重複がありません。つまり、「砂糖なしのホイップコーヒー」は、より広くとらえた「ホイップコーヒー」のトピックの一部ではないということです。少なくともGoogleはそう思ってるようです。つまり、これら両方のキーワードをターゲットとする場合、別々のページを作成する必要があります。
関連するキーワードの検索結果を比較することは、それらがどの程度密接に関連しているかを理解し、1つのページでターゲットにすべきか、複数のページで別々にターゲットとすべきかを判断する、優れた方法です。ただし、何百ものキーワードについてこれを行う場合は、かなり大変な作業になる可能性があります。
そのため、キーワードエクスプローラーには、調べているキーワードが広範なトピックの一部であるか、それとも専用のページを作るに値するものであるかを特定するための便利な機能があります。
私たちはそれを「親トピック(Parent Topic)」と呼んでいます。
キーワードの親トピックを特定する方法は非常に簡単です。そのキーワードで1位にランクインしているページを取得し、そのページが検索トラフィックを受け取っている、ほかの人気検索クエリがあるかどうかを調べます。
つまり、「ホイップコーヒー レシピ」というキーワードの場合、そのトップランクのページが、より人気のあるキーワード「ホイップコーヒー」でもトップにランクされていることがわかりました。しかし、「砂糖なしのホイップコーヒー」というキーワードの場合、それ自体が親トピックになっていることが判明しました。
親トピックの機能は、大量のキーワードをトピック別にグループ化するのに非常に役立ちます。ただし、盲目的に従うことをお勧めしません。その理由は次のとおりです。
上記のスクリーンショットでは、キーワードエクスプローラーが「ホイップコーヒー」のサブトピックである検索クエリ「ホイップコーヒーとは何か」と言っています。つまり、それにランクインするために専用ページを作成する必要はありません。
しかし、ここで「ホイップコーヒーとは何か」というキーワードのトップランキングページを見てみましょう。
上記の画像3番目には、特定の検索クエリ「ホイップコーヒーとは?」とターゲットに最適化されたページが見られます。一方、その上下のページは実際のところ、より一般的な用語「ホイップコーヒー レシピ」をターゲットにしています。
ですから、あるサブトピックが専用ページの作成に値すると感じる場合は、リスクを冒してチャレンジしてみてください! それは非常に良い成果を生むかもしれません。
検索意図の調査
例えば、以下のようなキーワードをリストアップしているとします。
そのうち、どのキーワードが情報ブログ記事に最適で、どのキーワードが製品やカテゴリページに向いているかを理解する必要があります。
一部のキーワードについては、これが明らかです。たとえば、「アイスコーヒーの淹れ方」に対して製品ページを作成することはできません。検索者は明らかにそのやり方、チュートリアルを探しています。
では、「アラビカコーヒー」のようなキーワードはどうでしょうか?検索者はそれに関する情報が欲しいのか、それとも購入したいのか? SEOでは、これを検索意図の調査と呼びます。
おそらくGoogleは、任意の検索クエリに対して、検索者が実際に見たいものを特定する方法を持っています。そして、どのページが最も適切な検索意図を満たしているかに応じて、検索結果の上位に表示される傾向があります。ですから、いくつかのキーワードの検索意図を特定する方法は、上位ランキングページを見ることです。
「アラビカコーヒー」の検索結果を見てみましょう。
ここには、情報ページとオンラインショップの両方があります。SEOでは、これを「分裂した検索意図」と呼びます。このキーワードは、2つのページタイプのどちらかでランクインできる可能性があることを意味します。
しかし、特定のクエリに対して正しいページタイプを特定することで、適切な検索意図を特定することは終わりません。理想的には、以下の変数を考慮する必要があります。
- タイプ ー たとえば、ブログ投稿、製品ページ、カテゴリページ、ランディングページ、オンラインツールなど。
- フォーマット ー たとえば、ガイド、リスト記事、ニュース、レビュー、比較など。
- 視点 / 切り口 ー これは、特定のトピックに対するあなた独自のアプローチです。
ここでは、「ラテの作り方」という検索結果における、素晴らしいコンテンツ視点の例があります。誰かが完璧なラテを作ることに焦点を当てている一方、他の人はエスプレッソマシンを使わずに作る方法を共有することに決めました。
しかし、あなた自身の記事のために、次のような視点を試してみたらどうでしょうか。「ゴードン・ラムゼイ(フルスピード注:ヨーロッパで人気のシェフ)のようにラテを作る方法」。おそらく、これを「完璧なラテを作ること」よりも良いと考える人がいて、あなたのページをクリックするかもしれません。
ご存知のとおり、キーワードの検索意図を分析する必要がある理由は、必ずしもその検索意図へ完全に従う必要がないからです。
特定の検索クエリの検索意図について強い意見を持っていても、上位ランキングのページがそれに従っていない場合、直感に従うチャンスを作ってみてください。
あなたのページが既にあるものとは異なっていても、Googleはそれをいくつかの検索者に表示する機会を与えるかもしれません。そして、彼らがそれを好む場合、あなたのページは検索結果での地位を確保します。
第5部 キーワードの優先度付け
キーワード調査プロセスの中でも、キーワードリストの優先順位を決定し、最初にどこを注力すべきかを決定することは、おそらく最も直感的で、非常に「個人的な」部分の1つです。
考えるべきことが多すぎるのです。
- このキーワードの推定トラフィックポテンシャルは?
- ランキングの難易度は?誰と競合しているのか?
- 完璧なページを作るには何が必要か?あるいは、すでにあるページを改善する必要があるのか?
- このキーワードのビジネス的価値は?そのキーワードで上位表示することで何が得られるのか?
最後のポイントは特に重要です。検索ボリューム、トラフィックポテンシャル、ランキングの難易度、検索意図などはすべて重要な考慮事項ですが、このキーワードでランキングされることが、あなたのビジネスにとってどのような価値があるのかも考慮する必要があります。
キーワードの「ビジネスポテンシャル」を測定する方法
多くのマーケターは、購入前に人々が通るプロセスである、いわゆるバイヤージャーニーにキーワードをマッピングすることによって、キーワードの価値を判断しています。定説によれば、人々がそのジャーニーの初期にあるほど、彼らが購入する可能性は低いとされています。
ここでは、人気のあるバイヤーズジャーニーのフレームワークを紹介します。
- トップ・オブ・ザ・ファネル(TOFU) ー 人々は、そのテーマに関する一般的な情報を探しています。
- ファネルの真ん中(MOFU) ー 人々は、問題に対する利用可能な解決策を調べています。
- ファネルの底(BOFU) ー 人々は、特定の製品やサービスを購入しようとしています。
TOFUキーワードは、検索数は多いがコンバージョン率は低い傾向があります(例:「キーワード調査」、月間検索数5,700回)。一方、BOFUキーワードは非常に有利ですが、検索ボリュームはずっと低くなります(例:「最高のキーワード調査ツール」、月間検索数800回)。
Ahrefsでは、このようなフレームワークはむしろ限定的であり、おそらく誤解を招くものだと考えています。
その理由を3つご紹介します。
1つ目:誰かが「キーワード調査」のようなTOFU用語を探しているという事実は、その人にあなたの製品を宣伝できないことを意味しません。(まさにこの記事で、当社のキーワードエクスプローラーについて言及した通りです)
2つ目:各キーワードにTOFU、MOFU、BOFUという明確なラベルを付けるのは非常に難しいことで、物事は常にそれほど明確ではありません。例えば、「最高のキーワード調査ツール」は、私たちにとってMOFUまたはBOFUキーワードとなり得ます。これをどのように見るかによって異なります。
3つ目:TOFUの定義を広げてしまい、全く関係のないトピックを取り上げてしまうマーケターがいることです。例えば、HubSpotの人々は、以下のキーワードをターゲットにした記事を書いています。「有名な名言」、「アイスブレイクに使えるゲーム」 、そして最も笑えるのは、「肩をすくめる絵文字」です。
Ahrefsでは、キーワードのビジネス価値を決定する独自の方法を開発しています。それを「ビジネスポテンシャル」と呼び、0から3までの単純なスコアで、特定のキーワードをカバーしながら製品を宣伝するのがどの程度容易かを示します。
正直に言うと、私たちはこのスケールに従ってブログのテーマをスコアリングするときに、チーム内で議論が起こることがあります。それでも、私たちはどのような従来の「バイヤージャーニー」フレームワークよりも、これを好んでいます。
どのキーワードから取り組むべきか?
残念ながら、この質問に対する明確な答えはありません。SEOの人たちが言うように、「それは状況による」ということです。
- 新しいウェブサイトを作っているのか、それとも確立されたビジネスに取り組んでいるのか?
- あなたは単独でマーケティングを担当しているのか、それとも大規模なチームを管理しているのか?
- あなたは実際のコンバージョンに責任を持っているのか、それともセールスチームに新しいリードを提供することが役割か?
- どれくらい早く結果を出す必要があるか?
キーワード調査は、私たちがカバーしたトラフィックポテンシャル、キーワード難易度、ビジネスポテンシャル、および検索意図の一連の指標とコンセプトを、あなたの独自の状況とバランスさせる行為です。
場合によっては、できるだけ早く高トラフィックで低難易度のキーワードを見つけることが求められる場合があります。他の場合は、リードまたはコンバージョンに重点を置く必要があり、その場合はビジネスポテンシャルが最も重要な指標になります。
キーワード調査は、「簡単にランキングできる」キーワードを見つけるプロセスではありません。「あなたのビジネスに最も適した」キーワードを見つけるプロセスです。
また、短期、中期、長期のランキング目標を持つべきです。短期的な目標にだけ焦点を当てると、最も利益の高いキーワードでランク付けすることができません。中長期的な目標にだけ焦点を当てると、何年もかかってトラフィックを得ることになります。
第6部 キーワード調査ツール
キーワード調査は、専門的なツールなしに実践することはほぼ不可能です。そして、SEOを始めたばかりであるか、SEOの予算が限られている場合は、以下のような無料のキーワード調査ツールを利用できます。
- Google Search Consoleーあなたのウェブサイトが現在ランキングしていて、そこからクリックを受け取っているすべての検索クエリを表示します
- Ahrefs Webmaster ToolsーAhrefs社の無料プランであり、Google Search Consoleに非常に似ています。あなたのウェブサイトがランキングしているキーワードを表示するだけでなく、それらのキーワード難易度スコアも表示します。
- Google Keyword Planner ーGoogleで広告を実行したい人向けのツールです。しかし、SEOにも価値があることがあります。
- Keyword Generatorーキーワードのアイデアを生み出すための無料ツールです。
- Keyword Difficulty Checkerーキーワードのランキング難易度をチェックするための無料ツールです。
そして、ウェブサイトの検索トラフィックを増やすことを本当に真剣に考えるようになったら、Ahrefsの有償プランを契約して、キーワードエクスプローラーを試してみることをお勧めします。このツールには、専門家レベルのキーワード調査を行い、有利なキーワードアイデアを発見するために必要なものがほとんど揃っています。
このガイドのキーポイント
- 検索トラフィックを獲得したいのであれば、人々が検索しているトピックに関するコンテンツを作成する必要があります。
- キーワード調査を始めるには、どのようなキーワードが競合他社に検索トラフィックをもたらしているかを調査するのが一番です。
- プロのキーワード調査ツールは、膨大なキーワードのデータベースを持っており、あなたのシードとなるキーワードを含む、何百万ものキーワードアイデアを表示することができます。
- 検索ボリュームは、あるキーワードの人気を理解するための重要な指標です。しかし、そのキーワードでランクインすることで得られるであろう検索トラフィックを予測したいのであれば、トラフィックポテンシャルを見る必要があります。
- キーワード難易度は、あなたのページがトップ10へランクインするために、どれだけのリンクが必要かを計るのに役立ちます。しかし、この単純な2桁の数字では、”Googleで1位になるには?”という質問に対する答えを出すことはできません。
- 複数の関連するキーワードをターゲットにする場合、それらが同じトピックの一部であるかどうか、つまり1つのページですべてをターゲットできるかどうかを理解することが非常に重要です。それともそれぞれが独自のトピックを表し、それぞれに専用のページを作成する必要があるかどうかを理解する必要があります。
- 各キーワードの検索意図を調べることで、どのようなページを作成すれば検索者を最も満足させることができるかを、より良く理解することができます。
- ビジネスポテンシャルスコアは、キーワードアイデアのリストを優先順位付けするための非常に効果的な方法です。与えられたキーワードに関するコンテンツを作成する際に製品やサービスを宣伝するのが、どの程度簡単かを反映しています。
著者プロフィール:
Tim Soulo
ティムはAhrefsのCMOです。しかし、もっと重要なことに、彼は会社の最大のファンボーイであり、真のエバンジェリストです。