AI検索の普及に伴い、SEOの戦略は大きく変化しています。将来のSEOでは、どのような取り組みが必要なのでしょうか？また、それを行うために必要なスキルとは何なのでしょうか？
なぜ、AI検索を意識したSEO対策が必要なのか？
従来の検索エンジン最適化（SEO）とは異なり、AI検索は文脈の理解、自然言語処理（NLP）、ゼロクリック検索の増加などを特徴としています。
この変化に対応できないウェブサイトは、検索結果での表示機会が減少し、トラフィックの低下につながる可能性があります。
GoogleのSGE（Search Generative Experience）やBing AI検索など、AIを活用した検索システムが普及しつつあります。これにより、以下のような変化が起きています。
キーワード一致よりも文脈の理解が重要
Google 検索はキーワードとして簡略化されたクエリに対して、その検索意図を推定し、検索結果としてウェブサイトのテキストリンクやナレッジグラフ、SERPフィーチャーなどを表示しています。
しかし、SGEが利用できるようになったGoogle 検索ではもちろん、Gemini や Perplexity、ChatGPT Search などの AI 検索では、キーワードではなく質問そのものを理解し、質問文の検索意図を理解できるようになっています。
例を挙げて説明しましょう。
例：海外旅行をしたいが予算も時間も限られている検索者。この人は旅先のグルメを楽しみとしている。
キーワード検索の場合：「海外旅行 日本から近い おすすめ」「海外旅行 2泊3日 グルメ旅」など、一度自分の質問をキーワードにして検索しないと、満足の行く検索結果に辿り着くことが難しかった。
AI検索の場合：「日本から近くて 2泊3日でグルメを楽しめる旅行先を教えて」という質問文で、ある程度満足の行く検索結果が表示されるようになった。
さらに、そのAI検索結果をもとに「Aという国よりも、Bという国に海外旅行をしたい。Bの国でお手軽なグルメを教えて」という質問をした場合、そのままクエリとして受け入れられやすくなった。
このように、検索者のクエリは自然な文章として検索されることがますます増えると予想できます。
AI 検索結果は、その場で直接回答を示す傾向にある
AI検索は、検索結果ページでそのまま回答を出すユーザーインターフェースの傾向が見られます（2025年2月時点）。これにより検索者は、検索結果の画面だけで回答に満足し、情報出典元のウェブサイトを閲覧しない、いわゆるゼロクリック検索が増えると考えられます。
例として、「コーヒー豆の種類を知りたい」という、自然な質問文をクエリとして検索したときの画面を観察してみましょう。ChatGPT Searchでは、特にChatGPTの検索画面内で生成されたテキストが優先されていることがわかります。
Google 検索：
Gemini：
Bing 生成検索：
Perplexity：
ChatGPT Search：
このように、AI検索サービスによっては、出典元ウェブサイトのリンク数が少なくなったり、目立ちにくくなっていることから、通常のGoogle 検索結果よりもセッションを獲得しづらくなる可能性があります。
情報の正確性や信頼性（E-E-A-T）がより重視される
AI検索はインターネットにあるウェブサイトのコンテンツをもとに、回答を生成します。したがって、そのソース（出典元）となるウェブページは、正確な情報を提供し、信頼性が高いことを示す必要があります。
また、AI検索は現在（2025年2月時点）でも、ハルシネーションや誤った解釈を生成するリスクをはらんでいます。このことから、情報出典元としてウェブサイトの内容について正確性を担保することは、SEOの観点だけでなく、インターネットで情報発信を行うにあたって求められる要件と言えます。
このように、検索結果そのものが変化し、検索者の検索スタイルも変わっていることを理解したうえで、検索で表示されるためのSEOも変化を迫られていることを理解しましょう。
検索エンジン、検索者、ウェブサイトのそれぞれで起きている変化、促される変化を図で整理すると、次のようになります。
AI検索を意識したSEOに必要なスキル
ここからは、実際に必要と考えられるスキルについて見ていきましょう。なぜそれが必要なのか？についても解説していきます。
文脈と検索意図を理解してキーワードを選定するスキル
AIの意図理解に合わせて、コンテンツの文脈を適切に構築する能力は、今後も重視されると言えます。
SEOの施策レベルで考えると、どのような質問文がキーワードに落とし込まれているのか、検索意図を把握することはより求められるようになるでしょう。
注：Ahrefsのキーワードエクスプローラー「質問」レポートでは、スクリーンショットのように自然な質問文を収集しているケースもあります。
経験豊富な分野のキーワードであれば、すぐにそれはどのような検索意図を持つかを推測できると思いますが、未経験の分野でコンテンツを作成する必要が生じた場合、キーワードの検索意図を把握するには膨大な時間がかかります。
このような場面に遭遇したときは、Ahrefs（エイチレフス）の検索意図分析が便利です。この機能はAhrefsに組み込まれているAIが、キーワードの検索意図を分析し、何を探しているのかを解説します。
スクリーンショットのように、1つのキーワードで複数の検索意図を持つことが考えられる場合、その割合も表示します。
この割合を参考に最も高い検索意図を理解して、それに沿ったコンテンツ作成を行うといった方針決定の参考にすることもできます。
注：AIによる検索意図の分析機能は、Ahrefsのスタンダードプラン以上でご利用いただけます（2025年2月時点）。
関連記事：SEOにキーワード選定が必要な理由とは？ゼロから学ぶ初心者向けガイド
AI 検索のデータを分析するスキル
AI検索の傾向を分析し、SEO 戦略や施策に反映させるスキルは、アクセス解析のスペシャリストだけでなく、どの作業に携わる人も身に付けておきたいものと言えるでしょう。GA4やGoogle サーチコンソールのデータを読み、仮説を立てて検証することはもちろん、独自にデータを蓄積し分析することも重要です。
分析作業はAIに任せることも可能となっている現在、どのようなデータを蓄積するのか？どのようなアウトプットにするのか？という目的を立て、設計するスキルも大切です。
これは、新しい検索サービスやアクセス解析サービスが今後も登場することを想定し、まだ蓄積したことがないデータについて、何を・どのように・いつからいつまで分析するかを考えるスキルとも言えます。
例えば、AhrefsではAhrefs Web Analyticsが公開されています。このツールは、チャネルに「LLM」が存在しており、ChatGPTやAI経由の流入元も把握できるようになっています。
アクセス解析ツールを使って、AI検索から流入があるかを把握することは、今後重要なポイントになると考えられます。
アクセス解析でお困りではありませんか？
株式会社フルスピードでは、SEOコンサルティングサービスを提供しています。アクセス解析を行い、サイト状況を分析したうえで成果を出すためのSEO戦略をご提案いたします。
ご相談は無料。お気軽にお問い合わせください。
＞＞＞SEOコンサルティングサービス「デフォイキ」紹介ページはこちら。
適応力と継続的な学習
急速に進化するAI技術や、検索アルゴリズムの変化に対応する能力です。今までのワークフローをやめて、まったく新しいフローや手順を実行することも適応力に含まれます。
また、新しい技術やアルゴリズムについて、SEO業界だけでなくAIに関する情報収集や学習を続ける姿勢も、SEOスキルを伸ばすために必要です。
＞＞＞ゼロからWEBマーケティングを学べるeラーニング紹介ページはこちら。
正しい情報か判断し、編集できるスキル
AIが生成したテキストについて、正しい内容であるのか裏どりをすること、ページの中に適切な出典リンクを付けることは重要です。また、AIが生成した内容が本当にわかりやすい構造であるかどうか、読みやすさを判断することも必要です。これらはE-E-A-Tを満たす際にも必要なスキルです。
特に、コンテンツマーケティング戦略においては、ただページが閲覧されれば良いということではなく、最終的にお問合せや資料請求を促すことが求められます。
これらをCVとするウェブサイトの場合、AI検索が普及してもなお、最終的な行動を促すためにウェブページをディレクションし、編集するスキルは必要と言えるでしょう。
創造性
AIが生成できない独自の視点や洞察を提供する能力。これは差別化戦略にも繋がります。実際に経験したことを言語化してインターネットで公開するスキルは、SEOだけでなくさまざまな分野で有益です。
また、専門性を持つ人に監修を依頼したり、成果につなげるための企画を立案するなど、SEOを超えたコミュニケーションスキルや企画力を身に着けることも重要と言えるでしょう。
まとめ
AI検索は、まさに日進月歩の勢いで激しく変化しています。
検索エンジンによるAI検索の推進はもちろん、検索者自身の検索方法も変化しています。これらを理解したうえでSEOの戦略や施策も進化させるためにも、AI検索を意識したSEOスキルを学び続けることが必要です。
