Ahrefsの「ビジネスチャンス」レポートは、Ahrefsが表示するデータについて、どのような施策をするべきかを提案する機能です。※記事の内容は2025年2月時点のものです。
Ahrefs(エイチレフス)のビジネスチャンス レポートとは
Ahrefsの「ビジネスチャンス」(英語名:Opportunities)とは、ウェブサイトの所有者やSEOの専門家が、ウェブサイトのパフォーマンスを向上させるための重要な機会を特定し、優先順位をつけるのに役立つ機能です。参考:Ahrefs 公式プロダクトブログ
この記事では、ビジネスチャンス レポートを最大限活用するために、各項目について詳しく解説するだけでなく、どのような施策に組み込めば良いのか、誰に何を依頼すれば良いのかまでを解説します。
Ahrefsのビジネスチャンスを確認する手順
Ahrefsのビジネスチャンス レポートは、2025年2月時点では次の手順でアクセスできます。
※こちらの機能は、Ahrefsの有償プランでご利用頂けます。
- Ahrefsにログイン
- サイトエクスプローラーを表示(ダッシュボードやプロジェクトからも可能)
- 分析したいドメイン / URLを入力
- 概要レポートを表示
- サイドバーから「ビジネスチャンス」をクリック
- ビジネスチャンスのレポート画面が開きます
以下のスクリーンショットもご覧ください。



続いて、ビジネスチャンスのレポートで表示されている項目は何を説明しているのか、どのような施策に活用できるのかを解説します。
Ahrefsの「ビジネスチャンス」項目と概要の見方
ビジネスチャンスは、主に次の構成で分類されています。
- コンテンツ…コンテンツマーケティング(新規制作・リライト)、SEO、UI/UXによる改善が推奨されるレポートを表示します。
- リンク…リンク構築の改善が推奨されるレポートを表示します。特に、メンション(言及)はあるがリンクがない状態を改善するときに活用できる提案がまとめられています。
- テクニカル…テクニカルSEOの改善レポートを表示します。このレポートを表示するには、事前に分析したいウェブサイトをプロジェクトに登録し、サイト監査でクロールしておく必要があります。
ビジネスチャンスはAhrefsのコアツールにそれぞれ遷移し、特定のフィルタがセットされた状態のレポート画面を表示します。つまり、Ahrefsの中で使える便利なショートカットとなっています。これにより毎回フィルタをかける手間を省いて、施策方針に応じたデータを呼び出せるようになっています。
ビジネスチャンス活用のために押さえたいポイント
- Ahrefsのビジネスチャンスは、サイトエクスプローラーのサイドバーにあります。※サイトエクスプローラーについてはAherfs公式サイトもご覧ください。
- コンテンツ、リンク、テクニカルの3カテゴリで、ウェブサイトの改善案を整理しています。※今後、項目が追加・変更される場合があります。
- ビジネスチャンスは、特定のフィルタがセットされた状態でAhrefsのコアツールに遷移する、便利なショートカット機能です。
それでは、ビジネスチャンスの項目を一つずつ見ていきましょう。
手軽に成果を上げられるキーワード

- どのレポートに飛ぶのか:サイトエクスプローラーの「オーガニックキーワード」レポートに移動します。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:「順位: 4–15」「期間: 1年間」のフィルタが適用されます。
- 「手軽に成果を上げられるキーワード」レポートの見方: 既存のページを更新するか、新しいページを作成し、現在の4~15位より上位にランクインさせることを目指します。
- 施策にどう組み込めば良いのか:フィルタで表示されたオーガニックキーワードの件数や内容、関連するURLを分析し、コンテンツ制作やリライトの必要性を判断しましょう。
- 誰に伝えるべきデータか:コンテンツディレクターやコンテンツライターに共有しましょう。 どのページでどのキーワードを狙ってリライトすべきか、新規コンテンツを作成するべきキーワードは何か、さらに精査してください。
コンテンツ制作でお困りの場合は、ぜひ株式会社フルスピードにご相談ください。
強調スニペット(フィーチャードスニペット)
注:当記事では「強調スニペット」の表記を優先しています。

- どのレポートに飛ぶのか:サイトエクスプローラーの「オーガニックキーワード」に移動します。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:分析しているウェブサイトの中にあるページのいずれかが現在2~8位で、強調スニペット(フィーチャードスニペット)ではランキングできていないものだけを絞り込むフィルタがセットされます。
- 「強調スニペット」レポートの見方:強調スニペットで表示されるために、どのキーワードでリライトすれば良いかを検討できる一覧となっています。
レポートの中にある「SERP」ボタンをクリックして、どのページがフィーチャードスニペットを獲得しているのか確認することもできます。もちろん、実際にこれらのキーワードでGoogle 検索を行い、強調スニペットが出ているかどうか、どのような表示となっているのかを確認することも重要です。

- 施策にどう組み込めば良いのか:リライトの方針が決まっている場合、フィーチャードスニペット表示の目標キーワードとして、施策リストに入れましょう。
- 誰に伝えるべきデータか:コンテンツディレクター、ライターに共有しましょう。実際のフィーチャードスニペットを確認して、不足している情報を追加するようにしましょう。
コンテンツギャップからの上位候補

- どのレポートに飛ぶのか:競合の分析(Competitive Analysis)の、「コンテンツギャップ」レポートに移動します。※参考:Ahrefs 公式サイト|コンテンツギャップ
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:このビジネスチャンスをクリックすると、分析したいウェブサイトのオーガニック競合サイトが10件読み込まれます。その後、「ターゲットの順位: ランクなし」「競合の順位: トップ 10 に 1 件以上」のフィルタがセットされた状態で、レポートが表示されます。
- 「コンテンツギャップからの上位候補」レポートの見方:自サイトがランキングできていないが、競合サイトはランキングできているキーワードが表示されます。
- 施策にどう組み込めば良いのか:競合サイトが獲得できているキーワードについて、どのコンテンツから先に作成するのか、優先順位を付けるためのデータが可視化されます。
明確に競合がおり、それらにコンテンツマーケティングで対抗する必要がある場合は、「手軽に成果を上げられるキーワード」よりも重要度が高いビジネスチャンス レポートと考えることをお勧めいたします。
- 誰に伝えるべきデータか:コンテンツディレクター、ライターに共有しましょう。まったく新しいディレクトリ作成や、ランディングページの制作も必要と判断した場合は、サイト管理者やウェブサイトの制作担当にも、重要性を伝えるために共有することをおすすめします。
競合他社を上回るためのSEO改善でお悩みの場合は、ぜひ株式会社フルスピードにご相談ください。
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トラフィックが減少しているコンテンツ

- どのレポートに飛ぶのか:サイトエクスプローラー「上位ページ」レポートに移動します。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:「トラフィック: 下降」のフィルタがセットされています。
- 「トラフィックが減少しているコンテンツ」レポートの見方:ウェブサイトで公開済みのページのうち、過去6ヶ月間にトラフィックが減少したページに絞り込んで表示します。
- 施策にどう組み込めば良いのか:これらは、リライトの優先順位が高いページと判断できます。特に、複数のキーワードでランクインしているページの場合は、キーワード列の数字をクリックして内訳を確認しましょう。
どのキーワードでも順位は変わらないのにトラフィックが減っている場合、そのキーワードは検索ボリュームが減少傾向にあると考えることが重要です。キーワードエクスプローラーを使い、「Growth」指標も確認しましょう。
- 誰に伝えるべきデータか:コンテンツディレクター、ライターに伝えてリライトを提案してください。
一度だけ公開されたページ

- どのレポートに飛ぶのか:コンテンツエクスプローラー「全ページ」のレポートが表示されます。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:「ページトラフィック: Up to 50(0~50)」がセットされます。
- 「一度だけ公開されたページ」レポートの見方:ウェブサイトに公開済みで再公開(リライト・情報更新)されておらず、推定の月間オーガニック検索トラフィックが50未満のページが表示されます。
- 施策にどう組み込めば良いのか:リライトを計画するとき、これらのページも更新するのか、それとも切り捨てるのかを検討するためのレポートと捉えることをお勧めします。理由としては、そのページの内容がすでに古くなっており、リライトをしてもトラフィック増加が見込めない場合があるためです。
これを判断するポイントとして、以下をチェックしましょう。
- そのページのトピックは今も有効か?:内容が古すぎて、当時の資料的価値以外はあるのかどうかを見直してください。Ahrefsには、分析しているキーワードの成長を予測する指標(Growth、キーワードボリュームの予測)があります。
- 「手軽に成果を上げられるキーワード」のビジネスチャンスと比較したとき、どちらに手間をかけた方がトラフィックを得られそうか?:自サイトのビジネスと照らし合わせて、どちらのビジネスチャンスレポートがより重要か、判断するようにしましょう。
- 誰に伝えるべきデータか:コンテンツディレクターに共有しましょう。内容が古く、SEO的な価値も自身のビジネス資料としての価値もないページの場合は、テクニカルSEOの担当者と相談して、ページの統合やリダイレクトも検討しましょう。
潜在的なカニバリゼーション

- どのレポートに飛ぶのか: サイトエクスプローラーの「オーガニックキーワード」に移動します。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:「複数の URL」フィルタがセットされます。
- 「潜在的なカニバリゼーション」レポートの見方:分析しているウェブサイトの中で、同じキーワードで検索結果に挙がっているページが複数あるものだけを表示しています。
- 施策にどう組み込めば良いのか:そもそものお話として、自サイトにとってこのレポートに表示されたカニバリゼーションは、望ましくないものかどうかを把握しましょう。
検索結果(SERP)の中に自サイトのページが複数あるということは、SERP内のシェアを占めていることでもあります。無関係なページとカニバリゼーションを起こしているのか、同じ目的を持つページたちが揃ってランキングされているのかを精査しましょう。
- 誰に伝えるべきデータか:コンテンツディレクター、ライターに伝えてコンテンツ方針の見直しを検討しましょう。1ページに統合すべきと判断された場合は、テクニカルSEO担当者に伝えてリダイレクト作業を行い、コンテンツライターにはリダイレクト先の1ページについて徹底的なリライトをするように伝えましょう。
リダイレクトして実行

- どのレポートに飛ぶのか:サイトエクスプローラー「被リンク数の多いページ」レポート
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:「リンクタイプ:すべて」「HTTP コード: 404 Not found」がセットされます。
- 「リダイレクトして実行」レポートの見方:少なくとも1件以上の外部リンクか内部リンクがあるが、404となっているページだけを調べることができます。
- 施策にどう組み込めば良いのか:「External(外部)」「Internal(内部)」のタブ切り替えで、それぞれの対応を検討しましょう。
- External(外部):すでに被リンクを張ってもらえた外部サイトに、404ページの代わりとなるページを用意して、張り替えるように連絡しましょう。
- Internal(内部):404ページの代わりとなるページへのリンク張り替え、またはリダイレクトを検討しましょう。
- 誰に伝えるべきデータか:テクニカルSEO担当者、オンページSEO担当者(ライター含む)、リンク構築の担当者に連絡して、外部・内部両方のリンクを整備しましょう。
内部リンクの機会

※このレポートを表示するには、事前にプロジェクトを登録し、サイト監査のクロールを実行しておく必要があります。
- どのレポートに飛ぶのか:サイト監査の「内部リンクの機会」レポート。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:「All filter results」にセット。
- 「内部リンクの機会」レポートの見方:サイト監査でクロールしたウェブサイトについて、ソースページ(内部リンクを張る元記事)、ターゲットページ(内部リンクを張る先となるページ)で見ていきましょう。
- 施策にどう組み込めば良いのか:内部リンクを設置する優先順位を付けるときに使いましょう。コンテンツ戦略でリライトを行うとき、このレポートデータも組み込んで、どの内部リンクをリライトと共に設置するかを決める場合などに活用できます。
- 誰に伝えるべきデータか:コンテンツディレクター、SEO担当者、ライターに伝えて、どのページに何を内部リンクとして設置すれば良いかを提案しましょう。最も内部リンクを集めたいページを選ぶことも必要です。
リンク交差からの上位リンク

- どのレポートに飛ぶのか:競合分析ツール「リンク交差」レポートに移動します。※参考:Ahrefs公式サイト|リンク交差
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:「参照ドメイン:すべて」「ターゲットにリンクしない」がセットされます。
- 「リンク交差からの上位リンク」レポートの見方:分析しているウェブサイトは獲得できていないが、Ahrefsが自動提案した競合サイトでは獲得できている、参照ドメインの一覧が表示されます。※注:dofollow、no followを含めたすべての参照ドメインを表示しています。
- 施策にどう組み込めば良いのか:DR / URを高めるための、リンク構築に活用しましょう。nofollowも含めた参照ドメインであるため、プレスリリース配信を行う際にこれらのリストを持つサービスを利用するかを決める参考データとして使うことも考えられます。※タブを切り替えて、dofollowのみ、nofollowのみのデータを調べることも大切です。
- 誰に伝えるべきデータか:リンク構築の担当者に伝えましょう。リンク獲得のためのコンテンツが不足している場合は、コンテンツマーケティング担当やライターにも伝えましょう。
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リンク先のないブランドメンション

- どのレポートに飛ぶのか:ウェブエクスプローラーのレポートに移動します。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:サイトエクスプローラーで分析するために入力したドメイン / URLに対し、「-outlinkdomain:<ドメイン/URL> -site:<ドメイン/URL> 」がセットされます。
- 「リンク先のないブランドメンション」レポートの見方:分析しているウェブサイトのドメイン名を、言及対象の文字列にしています。
なお、日本語ドメインでも分析できるのかどうか検証したところ、「http://総務省.jp/」では次のような結果となりました。

- 施策にどう組み込めば良いのか:リンクがない言及は商品や自サイト、企業の評判を正直に伝えている場合もあります。SEOの領域にこだわらず、WEBマーケティング全般の評判管理として把握することもお勧めします。
- 誰に伝えるべきデータか:リンク構築・サイテーションの担当者に伝えましょう。リンク獲得の価値がある言及かどうかを精査して、アタックリストに加えるか検討してください。また、SEOの領域を超えて、WEBマーケティング担当や広報担当に伝えることも検討してください。
記述的アンカー


- どのレポートに飛ぶのか:サイトエクスプローラー「内部リンクのアンカー」レポートに移動します。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:デフォルトでは「アンカー:一致 Click here,here」に指定されています。注:現在は英語の文字列フィルタのようです。「アンカー:含む、こちら,詳細はこちら」など、日本語の文字列フィルタに置き換えることをおすすめします。
- 「記述的アンカー」レポートの見方:「こちら」「詳細はこちら」「続きを見る」といったアンカーテキストを表示することができます。どのページで汎用的なリンクが張られているのかを確認しましょう。
- 施策にどう組み込めば良いのか:汎用的なアンカーテキストは、Google の検索セントラルでも「悪い例」として明示されています。また、SEOではなくCVを狙ったUI / UXの観点では、クリックを促すテキストとしてふさわしくない場合もあります。より良いアンカーテキストにできないか、検討しましょう。※AI検索を見据えた施策も検討してみましょう。
- 誰に伝えるべきデータか:コンテンツディレクター、ライター、リンク構築担当に伝えて、ここまでに紹介したビジネスチャンスレポートと共にリライトの方針を策定しましょう。プログラマティックに生成されたアンカーテキストである場合は、UI/UX担当やエンジニアにも伝えて、生成するアンカーテキストを変えることも検討しましょう。
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重要な問題

※このレポートを表示するには、事前にプロジェクトを登録し、サイト監査のクローリングを実行しておく必要があります。
- どのレポートに飛ぶのか:サイト監査「All issues(すべての問題)」レポートに移動します。
- どのようなフィルタがあらかじめセットされるのか:「Actual」「Importance: Error」がセットされます。
- 「重要な問題」レポートの見方:ウェブサイトのページ、リンク、リダイレクト、画像、その他のカテゴリで、ウェブサイトの修正事項が提案されます。
- 施策にどう組み込めば良いのか:ウェブサイトのSEO改善、特に内部SEOやテクニカルSEOの改善優先度を付けるために活用しましょう。
- 誰に伝えるべきデータか:サイト管理者・テクニカルSEO担当者に伝えましょう。ウェブサイト制作会社や、ウェブサイトのフロントエンドを担当するエンジニアに伝えることも検討してください
まとめ
Ahrefsのビジネスチャンスレポートは、企業のSEO施策の優先順位付けをサポートします。Ahrefsの中で使える便利なショートカットとなっており、レポートを適切に読み取り、それぞれの担当者に伝え、巻き込むことで真価を発揮します。
Ahrefsは、法人様向けのエンタープライズプランも提供しております。チームでAhrefsを使用する場合、ビジネスチャンスレポートを読み取るための共通言語としてWebマーケティングの基礎知識をeラーニングなどで学び、どの施策を・どのぐらいの優先順位で行うか判断することをおすすめします。