SEOスペシャリストの求人52件を分析：仕事内容とSEOスペシャリストになる方法を紹介

この記事はAhrefs公式ブログの日本語訳です。
原文：I Analyzed 52 SEO Specialist Job Listings. Here’s What They Do and How You Can Become One
（著者：Si Quan Ong / 原文の最終更新日：June 27, 2024）
※フルスピード注：この記事は2024年6月27日時点の記載をもとに翻訳しています。Ahrefs公式ブログの記事は今後追記・再公開されることがありますことをご了承ください。

SEOのスペシャリストは、オーガニック検索結果でWebサイトの可視性を向上させる責任を負っています。しかし、彼らは具体的にどんな作業をするのでしょうか？　SEOスペシャリストとして働くには、どのようなスキルと資格が必要なのでしょうか？　そして、どうすればSEOスペシャリストになれるのでしょうか？

それを知るため、私はIndeedとSEOJobsに掲載されている、SEOスペシャリストの求人広告52件を調べました。

注：私は「SEO スペシャリスト」の求人情報のみに注目しました。つまり、「SEO コンテンツスペシャリスト」や「テクニカル SEO スペシャリスト」などは含まれません。（ただし、シニア SEO スペシャリストの求人情報は今回調べた内容に含まれていました。）

※訳者注：この記事は英語圏におけるSEO業務の求人を分析しています。
日本語圏の場合は「SEO 求人」「SEO コンサルタント求人」「Webマーケティング SEO 求人」など、キーワードそのものや求人内容などが異なる可能性があります。

SEOスペシャリストはどんな業務に従事するのか？

私が見つけた最も一般的な責任は、次のとおりです：

キーワード調査（90.4％）
SEOのパフォーマンス監視と分析（75％）
ページ内や、コンテンツの最適化（69.2%）
レポート（67.3%）
テクニカルSEOの施策（61.6%）
他のチームとのコラボレーション（61.5％）
SEOのトレンドと、Googleのアップデートを常に把握する (61.5%)
SEO戦略を策定する（55.8%）
リンク構築（53.9%）

注：何百もの潜在的な職務について、それぞれの求人詳細をチェックするのは不可能であるため、ChatGPTに協力してもらいました。求人情報のリストから10件をChatGPTに与え、最も一般的な職務を特定するように依頼しました。次に、52件の求人リストすべてを調べ、それぞれの職務がどの程度一般的であるかを確認しました。

SEOスペシャリストには先ほど挙げた一般的な責任について、すべての実行が求められているようです。一部の求人情報では、SEO担当者にコンバージョン最適化の実行まで求められており、SEO担当者がPPCを担当している求人情報さえありました。※訳者注：以下スクリーンショット参照。

SEOの各側面は、実際に専門とする人がいるので、私の意見では（この求人情報に対して）要求することはたくさんあります。

とは言え、これらの求人のほとんどは社内向けの可能性もあります。（著者の）同僚でSEOスペシャリストの経験もあるDespinaさんによると、社内SEOスペシャリストは、SEOを担当する唯一の人物であるか、多才さが評価される非常に小さなチームの一員であるため、オールラウンダーであることが多いそうです。

Despinaさんは、私たちにこう思い出させます。

私の考えでは、SEOスペシャリストであることは、何をするか、ということではありません。責任を負っている結果、つまりオーガニック検索におけるWebサイト可視性の向上、そして理想的にはオーガニックな収益向上が重要です。今日はそこに到達するために、テクニカルSEO、コンテンツ、リンク構築のタスクを計画するかもしれません。明日になれば、ブランド構築、UX、さらにはCROのタスクを行うことになるかもしれません。

Despina Gavoyannis, シニアSEO Ahrefs

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SEOスペシャリストにはどんなスキルが必要か？

私が求人情報を通じて見た、SEOスペシャリストに共通するスキルは次のとおりです：

Google Search ConsoleやAhrefsなど、SEOツールの使用経験があること（75%）
コミュニケーション能力があること（61.5%）
SEOのベストプラクティス、SEOのトレンド、Googleの仕組みに関する知識があること（57.7%）
分析スキルがあること（48％）

注：先ほどの「SEOスペシャリストはどんな業務に従事するのか？」と同じ方法論で、この質問に答えるためにChatGPTの協力を得ました。

興味深いメモ

SEOツールの使用経験を尋ねた人のうち、38% が Ahrefs の使用経験を求めています。そのため、SEOスペシャリストの役割に備えたい、求職したい場合は、Ahrefs社のツールセットに精通する必要があります。

それには、実際にツールを試してみるのが一番良い方法です、無料のAhrefs Webmaster Toolsアカウントに登録し、後で有料プランに加入することを強くお勧めします。
※フルスピード注：日本からAhrefsを申し込む場合は、こちらの有償プランをご確認ください。

Ahrefs社のツールセットをさらに深く知りたい場合は、無料の認定コースを受講することもお勧めします。
※フルスピード注：Ahrefsの認定コースは動画（英語）＋英文テキストのチュートリアルです。実際にAhrefsを触るには、AWTアカウント、または有償プランが必要です。また、Webテストや認定バッジが取得できるものではありません。Ahrefsアカデミーのテキスト翻訳版は、こちらをご覧ください。

これもまた、Despinaさんの経験を裏付けるものです。彼女はこう言っています。

私の経験では、ほとんどの雇用主が求めるのはソフトスキルとハードスキルの組み合わせです。これらのソフトスキルはますます価値が高まっています。コミュニケーション、自発性、学習と適応の能力、時間とプロジェクトの管理、大量のデータを処理し理解する能力などです。ハードスキルとしては、戦略をまとめる能力とSEOアクションを推奨する能力が求められます。

Despina Gavoyannis, シニアSEO Ahrefs

興味深いと思ったのは、AIツールの経験を明確に求める求人が2件あったことです。

これは（今のところ）ほんの小さなサンプルに過ぎませんが、私は兆候として捉えています。AIスキル、特にSEOにAIを使用することに関連するスキルは、今後さらに重要になるでしょう。※フルスピード注：SEOにAIを活用する翻訳記事はこちら。

SEOスペシャリストには資格が必要？

良いニュースです。求人情報の61.5%で大学の学位は求められていないため、おそらくそれは必要ありません。

残りの候補者については、通常、SEO（そんな学位があるのでしょうか？）、マーケティング、ビジネス、または関連する分野の学士号を求められます。これは、Despinaさんが見てきたこととも一致しています。

それでも、学位を持っていないというだけで、特定の求人リストから除外される必要はないと思います。実のところ、Despinaさんは社会学と教育学を専攻した文学士を持っています。学位であることは間違いありませんが、SEOとはまったく関係のないものです。

実際にSEOの経験を積む方法について考えたほうがよいでしょう。
※フルスピード注：SEOの経験を積む方法の翻訳記事はこちら。

SEOの認定資格についてはどうでしょうか？　無視してください。まったく重要ではありません。SEOの認定資格を求めている求人は3件だけです。
※フルスピード注：SEOの認定資格の翻訳記事はこちら。

SEOスペシャリストを募集して雇っているのは誰か？

代理店と企業の両方が、SEOスペシャリストを雇用します。

しかし、今回集めた求人情報のサンプルによると、今のところは、代理店（36.5%）よりも社内（インハウス）SEOスペシャリスト（63.5%）の需要が高いことがわかりました。

理由の1つは、SEO代理店で少なくとも10年の経験を持つ同僚のChris Hainesさんによれば、代理店業界では「SEOスペシャリスト」という用語が「SEOコンサルタント」や「SEOエキスパート」と同じ意味で使用されているためだと思われます。※フルスピード注：SEOコンサルタントの翻訳記事はこちら。

また、彼は、代理店の役割は一般的により階層的であり、以下の図のように一般的な昇進がある（英国の代理店の場合）と指摘しました。

ご覧のとおり、標準的な代理店のキャリアラダーには「SEO スペシャリスト」の役割はありません。

SEOスペシャリストの収入はいくら？

私たちが見た最も一般的な年間給与の範囲は、50,000 ～ 54,999 ドルでした。次に多かったのは、45,000 ～ 49,999 ドル、そして 40,000 ～ 44,999 ドルでした。

これは、ジュニアSEOスペシャリストの年収が約 60,000 ～ 70,000 オーストラリアドル（約 40,000 ～ 46,000 米ドル）であると述べた Despinaさんの経験と一致しています。また、Ahrefsブログで行ったSEO担当者の給与調査と一致しており、平均給与は 49,211 ドルでした。※フルスピード注：SEO業界の給与調査翻訳版はこちら。

唯一の例外的な数字（100,000 ドル以上）は、テクノロジー企業のシニア社内SEOスペシャリストの役職でした。このポジションは、最低5年のSEO実務経験（かつ、テクノロジー企業やデジタル代理店在籍経験）が必要でした。

SEOスペシャリストになる方法

私が見た求人情報の中には、初心者レベルのものはほとんどありませんでした。ほとんどの求人では、少なくとも1年以上のSEO実務経験が必要でした。

これにより、ジレンマが生じます。経験を積むには仕事が必要ですが、仕事をしなければ経験は得られません。

では、どうすればSEOスペシャリストになれるのでしょうか？　私はDespinaさんとChrisさんに答えを求めました。

1. SEOの基礎を学ぶ

インターンシップ（または仕事）を得るために専門家である必要はありませんが、SEOについて少し知っておく必要があります。そこで、SEOの基礎を学ぶことから始めましょう。

最近は無料の SEO コースがたくさんあるので、お財布の心配も必要ありません。キーワード調査からテクニカル SEO まで、知っておくべきすべてのことを網羅した、初心者向けの無料 SEO コースから始めることをお勧めします。読書がお好みなら、無料の SEO 初心者ガイドをお読みください。

これにより、重要なSEO の基礎と原則をしっかりと理解できるようになります。

フルスピード注：この項目で登場した関連記事

翻訳版は次の通りです：

2. 独自にWebサイトを作ってSEOを試す

すぐに実践的な経験を積むには、独自にWebサイトを構築することほど良い方法はありません。

結局のところ、SEOは実践的なスキルです。実際にやってみること以上に、現実に備えるための本や動画をいくら読んでも意味がありません。

Webサイトを構築し、検索用に最適化することで、WordPressなどのコンテンツ管理システムの操作方法、SEOツールの使用経験（無料のツールから始めることもできます）、SEOが持つ各側面の実践方法を学ぶことができます。これらはすべて、SEOスペシャリストとして将来知っておく必要のある重要なことです。※フルスピード注：無料SEOツールの翻訳記事はこちら。

3. SEO代理店でインターンシップをする

ほとんどの求人広告は社内ポジション向けですが、DespinaさんとChrisさんのどちらも、代理店でインターンシップをすることを推奨しています。

なぜでしょうか？　理由は3つあります：

代理店には通常、インターン向けのコーチングプロセス（トレーニング）があります。これは、SEOのあらゆることを一から学ぶのに最適な方法です。
代理店では、さまざまなクライアントにわたる多様なSEO経験に触れることができますが、社内での役割はより「専門的」になります。
特に中小企業やスタートアップ企業で働いている場合、社内でSEOを担当する人が自分一人になる可能性もあります。メンターの指導なしに、すべてを自分で解決しなければなりません。私自身、最初の仕事でこの経験をしました。スタートアップ企業にマーケティングインターンとして入社し、マーケティング担当者は自分一人だけでした。

インターンシップの機会を見つけるには、LinkedInやIndeed にアクセスし、「SEO インターン」または「SEO 卒業生（訳者注：新卒など）」を検索してください。

これらのポジションにアラートを設定すると、新しいポジションがあった場合に通知されます。

一生懸命働いて経験を積めば、フルタイムの仕事に就けるかもしれません。あるいは、仕事の経験を活かして、SEOスペシャリストとして将来の仕事に応募することもできます。

参考文献

SEOスペシャリストがキャリアアップするには

SEOスペシャリストになった後、次に何が起こるでしょうか？　それはあなたの目標と、キャリアの将来をどのように見ているかによって異なります。

それでも、私はDespinaさんとChrisさんに尋ねました。ほとんどのSEOスペシャリストが取る一般的な手順は次のとおりです。

SEOチームのリーダーになる

代理店内で昇進を目指すことも、大規模なSEOチームを持つ組織でSEOリーダー/SEO責任者になることを目指すこともできます。

ある意味、これはSEOのキャリアラダーを登るだけなので、最も簡単です。

もしこれが興味のある道であるなら、Chrisさん自身がSEO代理店でSEOリーダーを務めていたことは朗報です。彼は、自身のキャリアを前進させ、SEOリーダーになるのに役立った10のヒントを紹介する記事を書きました。彼のキャリアに何が影響したかを知るために、ぜひ読んでみてください。

参考文献

SEOコンサルタントになる

コンサルタントになれば、より多くの収入が得られ、自分の時間をより自由に使えるようになるでしょう。しかし、それは誰にでも向いているわけではありません。Despinaさんはこう言います。

コンサルティングには、他人のために働くよりも起業家としてのスキルが必要です。自分を売り込むか、自分のパーソナルブランドの構築に注力する必要があります。

Despina Gavoyannis, シニアSEO Ahrefs

自分を売り込み、売り込み、拒絶に直面し、あらゆる種類の事務作業（会計、税金など）を処理することなどに慣れる必要があります。これを知っても動揺しないのであれば、検討すべき道かもしれません。

Nick LeRoy氏が、SEOの従業員ポジションからフルタイムのSEOコンサルタントに転身した経緯については、以下のガイドをお読みください。

参考文献

自分で代理店を起業する

起業家としての理想をお持ちの方、または自分で経営者になりたいという夢をお持ちの方にとって、これは将来的な進歩となる可能性があります。

しかし、ここで再びDespinaさんの言葉を引用します。

これはすぐに次のステップに進むものではありません。しばらくコンサルティングを行った後にこの段階に進むと、非常に忙しくなり、さらに人を雇う必要が生じます。

Despina Gavoyannis, シニアSEO Ahrefs

また、代理店を始めるということは、SEOを行わなくなる可能性が高いことも知っておく必要があります。私が話した代理店オーナーの多くは、ほとんどの時間を人材管理、管理業務、販売に費やしています。SEOが好きで、ビジネスを経営したくないのであれば、この道を選ぶのは再考してください。

最後に一言。どれだけ感動的な話を読んだとしても、起業家になるのは簡単なことではないということを知っておいてください。あなたが読んだ話はすべて生存バイアスの犠牲者であり、世の中にはうまくいかなかった会社があふれています。

しかし、これを聞いてあなたの情熱がさらに燃え上がるなら、あなたに向いているかもしれません。

参考文献

まとめ

SEO スペシャリスト、SEO コンサルタント、または独自の代理店を経営している場合でも、次の3つは真実です。

SEO は急速に変化しています。Google、その競合他社、そして業界自体で何が起こっているかを常に把握しておきましょう。XやLinkedInで賢いSEOスペシャリストをフォローし、SEO コミュニティに参加し、SEO カンファレンスに出席しましょう。※フルスピード注：SEOのSlackコミュニティと、SEOカンファレンスの翻訳記事を公開しています。
学習を決してやめないでください。SEOスキルや、チームの管理、効果的なリーダーになるなどのソフトスキルは、いつでも向上させることができます。
常にネットワークを構築しましょう。人間は究極的には社会的な生き物です。私たちは信頼でき、保証できる人々と仕事をしたいと思っています。業界内で友人を作ることで、最新のSEO 戦術を知ったり、雇用してパートナーとなる価値のある人材を見つけたり、物事がうまくいかないときに同情し合ったり、物事がうまくいっているときに祝ったりすることができます。※フルスピード注：SEO戦術の翻訳記事はこちら。

著者プロフィール

Si Quan Ong
Ahrefs のコンテンツマーケター。過去 6 年間デジタルマーケティングに携わり、アジアで開催される業界最大規模のカンファレンス (TIECon や Digital Marketing Skill Share) で講演してきました。また、個人ブログで書籍の要約も書いています。